忍たまテキスト2

□割勘
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「きり丸ー、こんなところにいたのか」
「…先生」
「乱太郎たちが探してたぞ。いつも昼にいなくなっちゃう、って…一体どうしたんだ?」
「…」
「まずはこれを食え」
「これ…食堂の?」
「私のお手製だ。中身はおかかとうめぼしだ」
「…へへっ、おなかぺこぺこだったんだー!いただきまーす!」
「どうやら食欲はあるようだな。一体どういうつもりなんだ?最近昼に飯も食わずにいなくなるなんて」
「…誰にもいわない?」
「今まで私が約束破ったりお前を守れなかったことがあったか?」
「…あのさ、もうすぐ乱太郎の誕生日なんだ」
「おお、そりゃめでたいな」
「でさ、おれさ、何あげていいかわからなくて…」
「お前が一番気持ちをこめたものが乱太郎も喜んでくれるさ」
「でも…」
「でも?」
「乱太郎の誕生日、しんべエん家でやるんだ」
「…ああ、そうか」
「しんべえ、乱太郎を喜ばせようってきっとすごいごちそうとかたくさん準備してるだろうから…おれだけみっともないもの贈れないよ…」
「だから、昼飯代を誕生日の贈り物に…ってわけか」
「…」
「ばかだなあ、おまえが昼飯を我慢して倒れたりしたら乱太郎はすごく悲しむぞ」
「…でも、毎日のバイト代削ったら学園いられなくなっちゃうし…」
「ふむ、そうだなぁ…。よし!私…」
「あ、先生からお金は借りないよ。乱太郎はおれのお金で祝いたいんだ」
「先生だって祝いたいさ。だから、一緒に出し合おう」
「…先生も?」
「そうだ」
「一緒に?」
「そうだ。乱太郎はきり丸の大切な友達と同時に私の大切な教え子だ」
「…ならいいよ。先生と半分こで!」
「よし、決まりだな」
「へへっ!」
「しかしきり丸、しんべエと一緒に買うっていうのもありかと思うのだが…」
「それも考えたんだけど、しんべエと相談する前にあいつが先に『乱太郎への贈り物楽しみにしててくれ』って乱太郎に言っちゃってたから言い辛くて…」
「…まあいい。しんべえの誕生日のときも私を誘うこと、これでチャラだ。いいな?」
「うん!毎度ー!」
「毎度じゃなくてありがとう、だろ!この!」
「いってぇえええ!」




本当はな、きり丸
子供同士に気遣いなんか無用なんだぞ。
言いたい事いって、素直に欲しいものを欲しがればいいんだ。
今ならどんなわがままだって許されるんだから。
今までお前が得られなかった分だけ欲しがれ。
私が与えられるだけのものはお前に与えるから。










……………………………
土井ちゃんときりちゃんの関係めっちゃ好きです。
大人に限らず欲しい物は欲しがってもいいのだけれども今の時代はそうはいかないようですね。
子供が気遣いするような時代ですから。
親の顔色をうかがう子供を見てると自分見てるようで何かとても悲しいです。

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