忍たまテキスト1

□見守
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きり丸のバイト後。
神社の前を通りかかった。
「参拝していこう」
「うん」
お賽銭なら誰のでもいいじゃん、と頑としてお賽銭を投げたがらないきり丸の代わりに私が財布のヒモを緩めた。
どこまでドケチなんだこいつ。
二人で一緒に手を叩く。
パン パン
「きょーもこぜにがたくさんひろえますようにっと」
「違うぞきり丸」
「え?何が?」
「神社は願いを叶えてくれるところじゃないんだよ」
「がーーーん!」
そんなにショックなのかきり丸。
「だ、だって神様がいるんでしょ?!お金払えば願いきいてくれるんでしょ?!」
「お前な…」
ゲンキンにも程がある。
「まぁ…厳密に言うとだな、願いは叶えてくれる…でも」
「でも?」
「実は神様は毎日私たちを見守っていてくれてて、お金なんか払わなくてもちゃんと願いを聞き入れてくれているんだ」
「…うそだ!だっていつも俺が小銭欲しいって願ってても全然貰えないよ!」
必死に食って掛かるきり丸。
気持ちは分からなくもない。
どこの家でもそうやって教わったのだから。
「きり丸、お前は本当はお金が欲しいのかな?」
「欲しいよ。そりゃ欲しいさ」
「実は本当に欲しい物はもう手に入ってるんじゃないのかな」
「…本当に、っていうと?」
「それは私にもわからない。きり丸の中のもう一人のきり丸が、心の底から欲しいと願ったものは、必ず手に入っているはずだよ。そうだなぁ…きり丸、お前はお金を貯めたら何がしたいんだ?」
大きな目を輝かせながら望みを言う。
「家を買う!買って忍者しながら高給取りになって暮らすんだ」
「そうか。お前はその家で一人で暮らすのか?」
「…ううん、乱太郎達を呼んで皆で暮らすよ」
「じゃあ、乱太郎達と暮らす家ってことだな」
「あ、先生も呼ぶよ!長屋より楽な生活できるよ」
こいつはいつも一言…
「余計なお世話だ!…それなら、乱太郎やしんべエや私がいなかったら家はどうしよう」
急にしょげる。本当に表情がころころ変わって見ていて面白い。
「…一人で暮らすならいらないや」
「ほら、本当に欲しい物は手に入ってるじゃないか」
「え?………あ」
きり丸がそれに気づくと私はこの子に笑いかけた。
「よかったな」
「そんなんアリかよー…」
「きり丸。神様はお金で買えないものを望みのまま与えてくれるんだぞ。これ以上ありがたい事はないだろう?」
「そうだけど…まぁいっか。おれ何が何でも小銭貯めて家買うよ」
「そうだ。願いは自分で叶えるものだ。人間は自分で叶えられる力を持っているから神様にお願いしなくてもいいんだぞ」
まだ今ひとつ納得できないのか首をひねってさらに質問する。
「…それなら先生。神社は何の為にあるの?」
「いつも見守ってくれて、願いを聞き入れてくれてありがとうってお礼を言うところだよ」
きり丸は納得したのか、首を縦に振った。
「ふーん、そっか」
「分かったらもう一度拝礼だ」
頭を下げ、手を合わせて祈る。

私の生徒たちが健やかに過ごせる環境を与えてくださりありがとうございます。
また、私の生徒たちをいつも私の側においてくださりありがとうございます。
今日も一日見届けてやってください。

「こぜにをたくさんひろいます!」
「きり丸ー!!」
「今日の目標を伝えただけだってばー!そうすりゃ神様だって肩入れしてくれるでしょー?」
「はぁ…もう好きにしてくれ…」

まぁ、お前が建ててくれるであろう家は老後の楽しみにしておくよ。








……………………………
なんか微妙に話が…もういいや…リベンジ…
ってかきりちゃんおうち欲しいのか?(自問自答すんなや)
ちなみに「神社は見届けてくれる場所」というのは今年結婚する友達の言葉です。
とても素晴らしい子です。
結婚おめでとうそしてネタにつかっちゃってゴメーンネ★

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