仙子ちゃんと伊作子ちゃん話其の2

□バイトだバイト
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「いさっちゃーん!受かったー!」
「あ、こぺ!どうしたの?試験受かったの?」
「違う。オーディションだ」
「え!すごい!こぺ芸能人になるの?」
「違う。バイトだ」
「なあんだそうかあ。でもオーディションやるくらい凄い競争率高いバイトなんだね」
「競争しなかった。俺しかできないんだって」
「え?どこのバイト?」
「野球場。ドームだって」
「球場というと…ビール配ったり列整理したり?」
「違う。下で激しく動いたりするんだ。何のバイトかばらしたら俺が雇い主にバラされるから言えないんだ」
「へー、企業秘密なんだね」
「そうだ、ひぎょうきみつだ」
「う、うん…じゃあバイトの日教えてよ。差し入れもってくから!」
「サンキュー!俺おにぎりがいい!」
「うん!たくさん作ってくから!」



「こぺ、どこかな…おにぎり渡す隙あるかな…」

「なあ見たか?さっきのドアラ」
「今日の動きいつもの数倍ヤバくね?ネットのてっぺんまで走って登ったぜあいつ!」
「ついに人を越えたか…キモカワイイが売りなのにあれじゃ『キモ恐い』だぜ。しかもよく叫ぶし。『いけどん』だっつって」
「マスコットが叫んじゃだめだろー」

「……………!!!!!!」



「いけいけどんどーーーーーん!!!!」
「七松ーーーーー!!球場壊す気かーーーー!!」
「何をぉ!好きに暴れろっつったのはお前だろー!!あ、いさっちゃーーん!!」
「………や、やあ…」
「ん、君彼の関係者?悪いけど今すぐあいつを引きずりおろして事務所まで来てくれないかね?!」
「……………………はぃ…」




結局、青いコアラのぬいぐるみを着たこぺと一緒にみっちり叱られて帰ってきました。
できたてのおにぎり、固くなってました。

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