長編小説

□融点ドライアイス
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小さい頃の口約束ほど、不確かなものはないと思う。それをいつまでも信じてる私が馬鹿なんだけど。

「真琴〜」
頭の中でばかりお喋りな私は、誰かの声で現実に引き戻されるパターンが常習化してる気がする。

「ミチちゃん、遅かったね」
「あー来週の体育の予定聞いてたからさぁ」

男の子より短いんじゃないかってくらい短い髪をかきながら、ミチちゃんが私の元に現れた。

「てかゴメン、宿題見せてもらってもいい?今日当たりそうなんだわ」
「いいよー」

ミチちゃんとは、高校に入学してすぐに仲良くなった。サバサバした性格の彼女は、一緒に居てとても楽な存在だ。積極的で、人にはっきりものを言うタイプで、私とは正反対だけど、それが逆に合っているのかもしれない。明るく、誰とでも分け隔てなく接する彼女は、私の憧れでもある。

「てか、真琴。さっきのバスケのテストなにあれ?」
「"なにあれ"って?」
「完璧やる気なかったでしょ」
「ちゃんとやったよ?」
「気合が足んないのよ、アンタは」

軽く頭をはたかれて、ミチちゃんは私のノート片手に席に戻ってしまった。
気合いでどうにかなってたら、どうにかするよ。頭の中で吐いた小言は、誰の邪魔にもならないからいい。
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