長編小説
□融点ドライアイス
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「ほら、次、真琴だよっ」
体育委員であり、親友でもあるミチちゃんから、ボールを投げ渡される。
「次、谷本ー」
「…はい」
苦手な球技。しかもバスケットボールのシュートテスト。こんなに遠いところから、入れられた試しがない。
『まこと、ちょっと見て待ってて!』
そうだ。私はゲームもバスケもサッカーも、千秋がするところを見るのが好きだった。
私には、なぜそれが楽しいのか、正直わからないことでも、千秋が一緒にいれば、それでよかった。全部楽しかったから。
「はい、次、田端ー」
結局5球中、1球も入らずに、私のテストはあっという間に終わった。
「おい、真琴!やる気だせ!」
ミチちゃんとすれ違い様に、小声で叱られて「あんなの入んないよ」唇を尖らせた。