長編小説

□Stay with me
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大学を卒業してすぐ、今の会社で働き始めて3年。

この3年間、私は仕事しかしてこなかったといっても過言ではない。同僚が飲み会や合コンに勤しむ中、私はただガムシャラに働いた。

仕事にやりがいを感じていた、というのも勿論だが、一番の動機は“キャリアウーマン”になりたかった、からだ。
おしゃれなオフィス街を颯爽と駆け抜ける、絵に描いたようなキャリアウーマンになることが、私の夢であり、目標だった。

元来の負けず嫌いと、男嫌いが奏したのか、私は着実にキャリアを積み上げ、たった3年で今の地位を築き上げることに成功した。女子では異例だと、何度も賞賛された。

生意気な女だと罵られたり、可愛げのない態度のせいか『冷たい』と言われることもしばしばあった。傷つかなかった、と言えば嘘になるが、私に傷ついている暇などなかった。男に媚を売るなんて絶対に嫌だったし、女だからって負けたくなかった。
見る見るうちに伸びる業績と反比例して、私に対するヤッカミも減り、表立って何か言われることはなくなった。

最近では、よくそんな不純な動機でここまで伸し上がれたなぁ、と他人事のように思う。
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