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ジャンルごたまぜ。ただのほも
◆ロンクーとガイア
それは、形容し難くて、この手が抱えるには少々持て余してしまうような代物だった。
「……ロンクー」
夕陽をそのまま切り取ったかのような赤毛の男は、そっと剣士の服の裾を掴んだ。まるで、小さな迷い子のように。
いつもの飄々とした喰えない雰囲気は影もなく、彼は今にも消え入りそうだった。
「……助けてくれて、…ありがとうな」
かすれた、囁きにも等しい声はしっかりとロンクーの耳に届いた。
ぽすり、と彼はロンクーの背に顔をうずめた。
この男に礼を言われるのは存外悪くない、と男のぬくもりを背中で感じながら、そう思った。
「……ああ」
振り向いて震える彼を抱きしめるだけの器用さが自分にあれば何かが変わったのだろうか。
胸のうちを駆け巡る未だ未知な感情に、ロンクーは1人立ち尽くした。
2013/12/04(Wed) 23:43
◆ヘンリーとガイア
▼下の続き
白い世界をぼんやりたゆたう。居心地のいい闇だった。多分、ここに砂糖菓子があれば数年は優に過ごせる気がするくらい。
先ほどまでは冷たく空虚な真っ暗闇だったのに、「ごめんね」の一言で一瞬でふわっと暗闇が溶けさったのだ。
あれは一体誰の声だったのだろう。
やたら、胸が締め付けられたのだけど。
『――ア、ガイア』
誰かが呼んでいる。
聞いたことがある声だ。ああ、でも誰だか思い出せないな。
びっくりするくらい、心配そうな声だ。
まさか、俺を心配してるのか?
それはなんだか気が引ける。早く安心させてやらないと。
**
「ん……ぅ」
「ガイア?」
「あ、れ……ヘンリー?」
瞼を押し上げると表情の薄い呪術師が俺をのぞき込んでいた。
心なしか心配そうな表情だった。初めて見る表情だった。
「どうした? そんな変な顔して。もしかしてなんかやらかしたか、俺」
ヘンリーはへらりと笑って首を横に振った。いつもよりもなんだか元気が無さそうだ。
次の瞬間、俺はぎょっとした。
「――よかった」
はらはらと透明な滴が白い頬を伝う。
ヘンリーが、泣いていた。
泣きながら心底ほっとして笑っていた。
2013/08/28(Wed) 23:01
◆ヘンリーとガイア
ガイアが倒れた。外傷はないのに昏睡状態という重体だった。
ヘンリー曰わく、敵側のダークマージの呪いらしい。彼はガイアを自分の天幕に連れて行きベッドに寝かせた。自分の天幕なら呪い返しの材料も揃っているし手間がかからないからだ。
ヘンリーはそっとガイアの胸に触れた。
脈拍は通常より遅く、体温が低下している。いずれ脈動が止まり、死に至るのが目に見えていた。
「――ごめんね、ガイア」
聞こえていないと分かっていてもヘンリーは言わずにはいられなかった。
「こうするのが一番確実で、手っ取り早いんだ」
まるで壊れ物に触れるかのように、ヘンリーはガイアの色を失った頬をなでた。
そうして彼はためらいもせず、唇を重ねそっとまじないを含んだ息吹を吹き込んだ。
どれくらいそうしていたのだろうか。
ヘンリーが顔を離した頃にはガイアの頬には赤みが戻っていた。
それを見て、ヘンリーはほっと息をついた。
2013/08/27(Tue) 23:08
◆リベラとガイア
「……俺も魔法を使えるようになりたいな」
「いきなりどうしたんです?」
「いや、俺世間一般的にステータスがへちょいらしいから、魔法使えたらちょっとは変わるのかなって思ったんだ」
「……ガイアさんがへちょいなんて……一体誰が言ったのです?」
「お、おいリベラ、何殺気だってんだ」
「ガイアさんはへちょくなんかないです。大丈夫、私が証明して差し上げます見てて下さい!」
「ちょ、落ち着けよリベラ」
「いいですか、確かにガイアさんは本職でしたら防御面に関しては不安が残ります。しかしですね、攻撃の高さ、攻撃をかわす率、そして何より人体の急所を狙うのがずば抜けて上手いのですよ。つまり必殺率が高いということです」
「……(人の話を聞いちゃいねぇ)」
「――各々然々、ですから私はガイアさんが魔法を使わなくとも充分お強いと思いますよ」
「……励ましてくれてありがとな。俺は大丈夫だから、頼むから俺をへちょいと噂した奴らを闇討ちとかやめてくれ。な?」
「む……貴方がそう仰るなら、仕方ないですね。神に神罰を下すよう祈るだけにします」
「それもだめ」
2013/08/26(Mon) 23:59
◆ヴィオールとガイア
柔和な青空を眺めながら、貴族的ティータイムを楽しむ。
本日の茶葉はヴァルム大陸から直に取り寄せたもので、香りが格別に素晴らしかった。
ひょい、と突然後ろから覗き込まれる。
「おわっ……な、なんだ、ガイアくんじゃないか」
「悪い、驚かせたか?」
「そりゃ気配もなく突然背後を取られたらドキリともするさ。唯でさえティータイムを楽しんでいるのだから、そういう無粋な真似はよしたまえ」
「……すまん」
ガイアくんは居心地悪そうに頬をかいた。
そういう素直なところは嫌いじゃないのだがね。むしろ可愛げがあって大変よろしい。
私は今日のお茶請けを彼に差し出した。
翠の瞳が丸められる。
「ほら、これが目当てだったんだろう?」
「……い、いいのか?」
ごくり、とガイアくんの喉が動いた。
彼が生粋の甘いもの好きだと言うのはもちろん知っている。
そして彼の職業柄、甘いものをちょくちょく「拝借」していることも私含め、この軍の皆が知っている。
中には正面切ってとがめる者もいるにはいるが、大概は黙認状態だ。
おそらく、なんだかんだ憎めない性格なのだ、ガイアくんは。
「ん……美味い。キャラメルクリームの甘さが絶妙だな。生地に含まれているナッツの食感が……はあ、たまらないな……」
「…………」
「? ヴィオール、変な顔してるがどうしたんだ?」
「……いや、菓子を頬張るガイアくんがリスみたいで可愛らしいな、と思ってね」
「はあ……?」
半分冗談、半分本音だ。
あんなに幸せそうに菓子を食べるから、だからこの時間帯にティータイムをついしてしまうのだ。
怪訝な顔をするガイアくんの口端についているクリームを拭ってぺろりと舐めれば、さっと彼の顔に朱がさした。
甘いものとられて怒る人→軍師
2013/08/25(Sun) 22:16
◆ロンクーとガイア
「余計なお世話だバカやろう!!」
頭ごなしにそう怒鳴られれば誰だってムッとするだろう。相手を思っての行動なら尚更だ。
「結果的に俺もお前も無事だったのだから問題無いだろう」
「それはただの結果論だ! ってか俺が言ってるのはそんなことじゃない!」
「うるさい。まだ戦闘中だぞ」
「そんなことくらい分かってる!」
苛立ちをぶつけるように彼は屍兵に斬りかかった。
普段冷静なガイアがここまで怒りを露わにしているのは珍しい。
……まあ、そんな彼を怒らせたのは自分な訳だが。
「覚えとけよ、倍返しにしてやるからな」
「……お前には無理だ」
「できるさ、要は敵の攻撃からお前を庇えばいいんだからな。二回以上」
ドスの利いた声で宣言すると、彼は一歩前に出た。早速実行するらしい。
そんなに先ほど庇われたのが気に喰わなかったのか。
正しくは、かわす余裕があったのにまざまざ庇われた、という事実が気に喰わなかった、だろう。
見下された、と感じてしまうのも仕方ないことだった。
ただ、言い訳にもならないかもしれないが、あれは勝手に体が反応してしまっただけで、こちらとしても想定外のことだったのだ。
……今更言ったところで、火に油を注ぐだけだろうが。
好意とは全く以て御しがたいものだ。
俺は交戦するガイアの背を見つめ小さく嘆息した。
(好きだから、守りたいと思うのは当たり前だろう)
2013/08/24(Sat) 23:01
◆クロムとルフレとガイア
イーリス城の庭はクロムが修行に使うか、パーティーを開催することに使われるのがほとんどだ。幾重の塀に囲まれただだっ広い庭の隅に、樹齢不明のそれは立派な大樹が植わっている。
天気の良い日にその木陰で昼寝をすることが、クロムは堪らなく好きだった。
今日も今日とて、彼はそこへ足を運んでいた。
「……なんだ」
大樹が見えたところで彼は小さく呟いた。
その声は柔らかく笑みが浮かんでいる。
足音を極力立てないように注意深く樹に近づく。
「ここにいたのか」
大樹にもたれかかり、穏やかな寝息を立てているのはルフレとガイアだった。
互いに寄り添うようにくっついて眠っているのはやけに微笑ましい。
戦が連続的に続く世情の中、この二人の無防備な姿は貴重だ。
特にガイアは偵察に引っ張りだこだったから、夜間に休息している姿を目撃したことがなかった気がするくらいだ。
ルフレだって、多忙なのは明白だ。多少無理をさせているのも分かっている。
空気にあてられ、ふわり、とクロムは緩いあくびをした。
「……俺も、一眠りするか」
彼はガイアの隣に腰を下ろし、ちょうどいい位置にあったガイアの肩を枕代わりに目を閉じた。
****
2013/08/23(Fri) 22:38
◆クロムとルフレ
彼は時々ひどいことを言う。
「いっそ俺を殺してくれ、クロム」
いつから彼は自殺志願者になったのだろうか。
夢見が悪かったのか、寝床から身を起こしたルフレの顔色はひどかった。
まさに顔面蒼白。
「どうしたんだルフレ」
「……クロムを殺す夢を見た」
布団を握りしめた手がカタカタ震えていた。
ぎゅっと握り込む。
思っていた通り、ルフレの手は冷え切っていた。
「……お前にやられる程柔じゃないさ、俺は」
兵にしては華奢な体躯を抱き寄せ額に口付ける。
そこでようやくルフレは笑った。
「……どうだかな」
「ん?」
「クロム、魔法に弱いのに。ガイア程とは言わないけど」
「ほっとけ」
****
もういっそクロルフガイでくっつけばいいと思う。(要素的にクロルフ、ルフガイ、クロガイ)
2013/08/21(Wed) 23:15
◆クロムとガイア
※現代(学)パロ
▼カネカのCMを見たら
「おっおい待てガイア早まるな!! テレビに頭突きをしてもあっち側へは行けないぞ!!」
「離せクロム!! 目の前に夢で食べ尽くしたあのお菓子の家があるんだぞ!! これが行かずにいれるか!!」
「落ち着け!! 落ち着くんだガイア!!」
「俺を止めるなお願いだ、行かせてくれクロム……!!」
「うっ……(ガイアの切なそうな顔にはどうにも弱いな……)」
「隙ありっ!」
ゴッ(再び頭突きした音)
バリン(テレビ画面が割れた音)
「「…………」」
(すまんクロム……)
(いや気にするな。今度うちに来た時にはお菓子の家を用意しておくから)
(え? 本当か!? ミニチュアじゃないよな等身大だよな!?)
(もちろんだ)
現代でもクロムはぼんぼん。
2013/08/20(Tue) 15:27
◆フレデリクとガイア
「ガイアさんに言われた通り、材料を用意しておきましたよ」
「お、グラニュー糖まで用意してあるなんてさすがフレデリクだな。ちゃんと俺の言った通り規定量より多めにあるし」
「このくらい朝飯前ですよ。してガイアさん、何の菓子を作るのですか?」
「ふっふーん、今回はなーなんと……」
「なんと?」
「――純白の神秘のヴェールと初恋の甘酸っぱさを引きずったみずみずしい真紅の宝石が織りなす、ショートケーキだ!!」
(……甘いものだからでしょうか、やたらテンションが高いですね)
「? 何か言ったか?」
「いえ、ちなみにガイアさんの初恋の相手はどなたなのです?」
「そんなのもちろん甘いものに決まってるだろう」
(……私は一体何を期待したんですかね)
「ふむふむ、生地はもうあるのか。なら後はデコレーション……ふっふっふ、腕の見せどころだな」
「――ってガイアさん!? 貴方一体何して」
「何してって……生クリームのつまみ食いだよ。見て分かるだろ」
「ですが、それはれっきとした材料では……」
「あのなあ、フレデリク」
「はい」
「何のために材料多めに用意しとけって言ったんだと思う?」
「…………ご自分で食べるため、ですか」
「その通り」
2013/08/19(Mon) 21:36
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