妖アパ
□すてきな人たち
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※椎名視点
俺たちがその人を見かけたのはたまたまだった。
下校途中にミッタンと遭遇して街を走り回って路地裏にさしかかった時だった。
「ブロンディーズ!!」
ガッシャーン!
鼓膜をつんざくような音がして、高校生っぽい人を中心に周りの物が吹っ飛んだ。
「ひょっえーー!! 何だぁ今の!?」
「あのコーコーセーっぽい人がやったのかな!?」
「よし、訊いてみるか」
「え、椎名?」
目を丸くするてっちゃんとリョーチンを後目に、その人に駆け寄った。
視線が合って、予想が確信に変わった。
――この人は、俺たちと同じだ。
「……俺の顔に何かついてたりするか?」
「あんたも霊能力者?」
「まあ、そんな大層なもんじゃねーけどな。って、あんたも、ってことはお前らもか?」
小首を傾げたその人はわしゃわしゃと俺の頭を撫でた。
今初めて会ったばかりなのに、なんの抵抗も感じない。ミッタンみたいにいじり倒したいなんて気も起きないし、マッキーみたいにからかってやろうなんて気も起きなかった。
新しいタイプの人間だ。
背後でてっちゃんとリョーチンが「あの椎名が……珍しい!」とざわめいてた。
「俺は稲葉夕士。よろしくな」
にかっと悪戯っぽく笑った顔が印象的だった。
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続きます