sakerong
□君だから納得
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今日はクレアも『葡萄酒』としての仕事が入っていて暇なので、とりあえず寝ようと思います。
…だって行くところもないし何だかだるいし。
うん、少しくらい寝てもいいと、思う…。
おやすみなさーい……。
……と眠りにつこうとしたのは何時間前のことであったか。
目を閉じてそろそろ眠れるかもしれないというほど睡魔に襲われかけた頃、おなかにズシリとした重みを確認した。
目を開けても、布団をかぶせられているようで真っ暗だ
泥棒さんか何かを疑ったりもしたが、こんなことをするのは一人しかいないだろうと思い、頭の中を占める愛しいその名前をつぶやく。
「…クレア?」
すると、おなかの上の物体が少しだけ動いた。
「…寝てるとは思わなかった。」
「眠かったの。早かったですね?」
心なしかクレアの声が少し不機嫌に思える。
…眠りを妨げられた私のほうが不機嫌なんですけど、
「……早く会いたかったから」
その言葉に、思わずクスリと笑ってしまう。
するとクレアはますます不機嫌な表情になる。
…悪かったかな?
「何だ、そんなにおかしいか?」
「ううん…クレアかわいい。ありがとう。」
「…………」
無言のまま抱きしめられて、心地いい力加減に身を任せる。
クレアの背中に腕を回して気づいたけど、私今寝転がってるわけじゃないか。
押し倒されてるようで落ち着かない、なんて………。
「…シャワー浴びてくる」
「え…?」
急に離れたクレアとその発言に、私はドキリとする
「………別にどうにかしようとは思ってないさ…血なまぐさいだろ?」
そういわれ、部屋に充満した鉄の臭いに気づく。
…あぁ、そうかクレアは殺しをしてきたんだった
「ご、めん…」
突然羞恥心に襲われ、謝るとクレアはくしゃりと頭を撫でてくれた
「別に、そうしたいのなら俺は大歓迎だぞ?」
「ち、がうもん…」
苦し紛れにうつむくと、「わかってる」と私の額にキスを落とし、クレアは浴室へ消えいていった。
子供みたいなわがままも性格も、
君だから納得しちゃうんだな。
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