虹
ずっとひとりぼっちで生きて来たんだ
ひとりで生きていけると、
生きていけなきゃいけないだと思ってた
でもちがかったんだね
あなた達に出会うまで私は、こんな心があったかくなる気持ちも知らなかった
『ふぅ……』
久しぶりの非番。私は書庫でのんびりとしていた。書庫にひとりでいるとなんだかいろんな事を考えてしまう
昔のこと、今のこと、これからのこと
嫌なことからいいことまで
そんなことを考えながらうとうとしていると廊下からパタパタと足音が聞こえ書庫の扉が開く
「いた!」
『どうしたのリナリー?』
「ちょっときて!」
そう言い私の手を取って引っ張って行った。私は引っ張られるがままに行くと原っぱの丘に着いた。
「あ、来たさ!」
「間に合いましたね」
息が切れ手を膝について下を向いているとアレンたちの声が聞こえ顔を上げる。すると…
『わぁ……』
そこには声も出ないほど大きく綺麗な虹があった
「ほら、先まで見えるんですよ!」
アレンが指さす方をみると滅多に見ることの出来ない“虹の足”が見えた。それは、しっかり地面に足をつき堂々としているようだった
皆が走り回り「この虹触れそうですね」など言って盛り上がっているなか私はその場に立ちすくんでいた
「………何泣いてんだ」
『え!?あ………ほんとだ………』
神田は私の横に並んだ。私は自分が泣いてるなんて気がつかなかった。何故泣いてたか分からない、でもなんだかすごい胸があったかくなったの
近くには大切な人達。
出会った時から変わらない神田との身長差。その差に今は愛しさすら感じている
私は指で涙を拭く
『ふふっ。ほんと、なんで泣いてんだろ』
「こんなのもう2度とみれねぇんだからしっかり見とけ」
『そんなことないよ。見れるよまた…皆で』
そう言い私はニコッと神田に笑いかける
「そうかよ」
そう言い神田の表情が少し緩んだように見えた
絶対そうだよ
今のこの光景は……
皆の笑顔は
ずっといつまでも続いてくれる
だってここが………
皆が…私を絶望から救ってくれたから
END