献上

□らぶラヴLove!
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危機感をもって下さい、危機感を。

今までに何度も、口を辛くして言ってきた筈だったのだが、
どうやら我が城主はそれを綺麗さっぱり忘れていたようで。


「半蔵ーこれ開けていい?」

「なっダメです家康様…っ、ちょっと!」


拙者は止めようとしたのに、
敵国領主である武田信玄から送られてきた謎の木箱を、
家康様は開けてしまったのだった。





≪らぶラヴLove!≫





ボフンッ
木箱を開けた途端、中から白い煙のようなものが出て、家康様を包み込んだ。
拙者の視界もそれに遮られ、どうにも動くことが出来ない。

これが敵の忍などであれば、人としての気配を読んで即座に消すことが出来たのだが、
何分相手は生命持たぬ木箱、
視界を覆い尽くす白い煙によって、何処にあるのか分からなくなってしまった。

混乱に陥りながらも、そこに家康様の気配があることに安堵の溜息をつく。
そして、暫くすれば煙は晴れ、視界が明けてきた。


「家康さ―――…」


声を、かけようとして拙者は口を噤んだ。
そこにいたのが、見知らぬ女子であったから。

しかも上半身裸の。


「……は?」

「ゴホッゲホッ…」


女子は煙を吸い込んだようで、咳き込みながら顔の周囲にある煙を追い払っていた。
拙者は固まったまま。

誰だ、この女子。
上半身裸とは、何のつもりで…
と、いうか家康様は何処へ?
ん?この気配は家康様?
あれ?家康様の気配のある場所に、女子が、と、いうことは。

もしか、しなくとも、


「…い、家康、さま?」

「うー……けむい、半蔵」


その声は幾分か高くなっていても家康様のもので、
涙目でこちらを見てくる女子が家康様なのだと分かった途端、
拙者は赤面してしまった。

なんと、忍にあるまじき失態!
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