ゆめ3

□レイニー
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目が覚めると、そこは俺一人だった。無機質な部屋の床に横たわったまま首を上げる。薄暗さにも慣れた目が時計を探す。八時十分。

「ゆ、…うきは、」

いつもならもう帰ってきているはずなのに、結城の姿が見当たらない。シャワールームもトイレも寝室も、空っぽだった。妙に静かな部屋で、賀来は小さく溜め息をついた。

「結城…」

もしかして、また誰かを殺しているんだろうか。復讐の為にその、俺の大切なその手を汚しているんだろうか。俺がいない間、その目は俺を映さずに殺意に溢れ、俺以外の血を浴びているんだろうか。誰かが今、結城の声を聞いているんだろうか。ふと、そんな事を考えた。嫉妬で渦巻いた痛々しい思考。神父のくせに、と前に結城に言われたっけ。結城の匂いがする部屋に居ながら会えないのは、とても苦しい。結城、結城、結城、結城。結城は今どこにいるだろうか。耳をすますと外は雨だという事が分かった。頭元にあった服に着替えて、傘を一つだけ手にして、駅へと向かった。







(ただそばにいたくてとびだした)









初書きBLが半なまです←。神父の重めの愛が好きです



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