Long novel
□天空の使者〜次元の歪み〜
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―カッ!
人が寝静まる丑三つ時、町から少し離れた川原に空から光る炎が落下してくると、地面に着いた瞬間にそれは消えた。
「身体は無事なみたいだな」
炎が消えた場所には8人の男女が佇んでおり、小柄な少年、綱吉は状況を把握するために周囲を見渡す。
「お前達も無事だな」
そう、周りに問えば全員から肯定の返事が返ってきた。
「おやおや、どうやら面白い場所に迷いこんだみたいですね」
同じく周囲を探っていたネッピアは楽しげな表情をうかべる。
「どういうことだ?」
「先程、状況を見極めるべく軽く念視してみたのですが、ここは日本であり、僕達が知っている日本というか世界ではないみたいですよ」
「それはつまり…」
「えぇ、ここは僕達がいた世界とは違う空間、別の世界と考えて良さそうです」
ネッピアが言うには自分達がいた世界とはそんなに変わりがなく、あるとしたらこの世界にはボンゴレは存在せず、妖怪というものが未だに存在するということだった。
「妖怪?」
「えぇ、僕達守護神獣とはまた違いますが、雪女とか一つ目小僧とかそんな感じですかね」
「なるほどな…」
「へぇ、面白いね」
キラリと目を光らせたヌーヴォラに綱吉は予め忠告しておく。
「ヌーヴォラ、勝手に戦いというか暴れるなよ。というか、元々、お前達の喧嘩でこんなことになったんだから」
「わかったよ」
今回は自分にも非があるのでヌーヴォラは大人しく引き下がる。
「まぁ、帰る方法はあるがどうせならこの世界を見てみるのもいいよな」
普段、封印している力を解放すれば元の世界に帰ることは容易であるし、急ぐなら神獣達の力を借りればいい。
だが、どうせ別の世界にきたのだ。少し見て回るのもいいだろう。
「よし、お前達あやしまれるのも面倒だからなこの世界でも基本、人型になっておけ」
「「「了解」」」
守護神獣達からの返事を聞いたときだった。
「何じゃあ、お前さんら?」
急に聞こえた声に綱吉達が振り替えると1人の老人がそこに立っていたのだ。
「おや、気配を消すのが大分お上手ですね」
ネッピアは気を抜いていても気配に気付けなかったこと驚きつつも目の前の老人を睨み付ける。
「そりゃあ、儂はぬらりひょんだからのぅ」
カカカッと愉快そうに笑う老人、基ぬらりひょんに綱吉は不思議そうにする。
「ぬらりひょんって、そんな簡単にバラしていいのか?」
「普通、冗談ととる奴が多いがな。お前さんらはここいらの奴らと気配が違う。かといって儂に害を与える訳でも無さそうじゃからな」