Long novel
□天空の使者〜次元の歪み〜
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花々が生き生きと咲き誇る花園で1人の少年が寝転がっていた。
「ふわぁ、久しぶりに休めたな」
欠伸をしつつ、ゆっくりとした動作で少年は起き上がると周りを見回す。
「この空間だけは変わらないな」
「マスター、起きたの?」
綱吉の隣に腰を下ろした少女、ネピアスは綱吉の顔を覗き込むように聞く。
「あぁ、ここはオレが安心して休める場所だからな」
「ここはマスターが作りだした世界だもの。それは当たり前よ」
そう、綱吉が今いる空間は綱吉が普段過ごしている世界とは違う時空にあるもので、綱吉と綱吉を守護するもの達の為に作りだしたものだった。
なので、この空間には綱吉と守護神獣達以外には花や木等の自然を残して存在しない。
「そういえば、ネピアス。何か用があって来たんじゃないのか?」
綱吉が寝ているときは基本、彼らは綱吉を寝かしておくのだ。
まぁ、問題が起きたときは別だが…。
「あっ、そうだったわ。実はまた兄さんとヌーヴォラが…」
その言葉にため息を吐き、眉間を押さえる。
「またか…ここでは争いごとはやめろと言ったんだがな」
「ごめんなさい、マスター。兄さんがヌーヴォラを挑発したから」
「いや、お前が謝る必要はないさ。ただ、2人を早く止めないとだな」
申し訳なさそうなネピアスの頭を撫で、綱吉は先程から聞こえる爆音の方を見つめると一気に駆けた。
そして、ネピアスと一緒に音の中心地に着くとネッピアとヌーヴォラが睨み合いをしており、それを呆れたように見るフルミネとベルム、テンペスタとピオッジャもいた。
「お前達、何をしてるんだ?」
「「ちょっとこいつを消そうかと思って」」
綱吉の問に反応した2人は息ぴったりに返事をするが、それに2人の間の気温がまた下がる。
「何、同じこと言ってんの?やめてよね」
「あなたこそ真似するのはやめていただけませんかねぇ」
バチバチと火花が散り、2人は目の前の宿敵に対して、それぞれ大きな力をぶつける。
「消えなさい!」
「失せな!」
―ドオンッ、ブウウゥ
2人の強大な力がぶつかりあい、空気を揺らす。
「おい、ピオッジャ。あれ」
「ちょっとヤバいかもなぁ」
「あっ、空間に…」
「おい、お前達よさんか!」
いち早く異変に気付いたテンペスタとピオッジャ、それに続きフルミネとベルムも気付き、ベルムは2人にやめるように叫ぶ。
その異常さに気付いた綱吉は2人の力がぶつかりあっている場所に空間の歪みが出来始めているのに気がついたが、遅かった。
ついに、空間にヒビが入り、歪みが現れ綱吉達を飲み込み始めたのだ。
「ちっ、自分の身を炎で包め!」
吸い込まれる前に身体に炎を纏わせ、綱吉と守護神獣達は歪み中へと飲み込まれていった。