Long novel
□天空の使者〜第三章〜ボンゴレリング
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「母さん、ご飯まだ〜?」
日が暮れ始める頃、いつもなら奈々の呼ぶ声が聞こえてくるはずなのだが、今日はなかなか呼ばれず、自分から綱吉はリビングへ降りてきた。
「てっ、何これ!?」
リビングへと降りた綱吉が見たのは、テーブルいっぱいにならぶ料理の数々でちゃっかりリボーンは先に席についていた。
「うおぅ、すごいご馳走だもんね」
「ランボ、待って。イーピンも」
「ちょっ、2人とも」
「あらあら、ツっ君降りてきたのね」
目を輝かせてチビ達はさっさと席につく。
綱吉も席に着こうとしたら奈々がお玉を持ってキッチンから出てきた。
「母さん、こんなに料理作って何かあったの?」
「ふふ、あのねツっ君。お父さんが明日帰ってくるのよ」
「えっ、父さんが!?」
嬉しそうに笑う奈々の言葉に綱吉は驚きの言葉をあげた。
「なんていうか…急だよね」
「あら、家光さんらしいでしょ。今まで、石油掘ってたとか言ってたけど、ほら、これ家光さんから」
そう言って奈々が渡した一枚の絵はがきに綱吉は少し呆れる。
絵はがきには短く帰るという内容が書かれているが、
(何で、石油掘ってんのに南極なんだよ…)
絵はがきに描かれていたのはペンギンと広がる銀世界。
こんなところで石油なんてとれる訳もなく。もう少しましな嘘をつけないのかと思った。
「父さん、本当に帰ってくるんだね…」
奈々に絵はがきを返し、自分も席に座る。
「だから明日は家光さんの好きなものを作ってあげなきゃね。ほら、いただきますしましょう」
奈々の食事の挨拶に皆も一言いってから箸を持つのだった。
―――
「ねぇ、母さん。父さんが帰ってくるって…」
皆が寝静まり、この家に今いるのは寝ているランボとイーピン、綱吉と奈々だけでリボーンとビアンキは用事があって外出中だった。
「えぇ、この前家光さん自身から電話があったから間違いないわよ」
「そう、ボンゴレで起きている事件と父さんがこの時期に帰ってくるには確実に関係がありそうだな」
先日、クリス達から聞いた事件と家光が帰ってくりタイミングが良すぎるのだ。疑うなと言うほうが無理だろう。
「そうね、まったく家光さんたら私達に秘密でいつも何かやってるんだから」
「大丈夫だよ、母さん。母さんはオレの味方だよね」
心配そうな表情の奈々に綱吉は安心させるように答え、問う。
「もちろんよ、だって貴方は私の子供だもの。無茶だけはしないでね」
「うん、わかった」
「なら、いいの。明日は学校だから早く寝なさいよ」
「おやすみ、母さん」