Long novel
□天空の使者〜another story〜
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「お〜い、この薪はどこに持っていけばいいんだ?」
「それは、薪を置いておく小屋があるはずだからそこにたのむ」
「了解、置いてくるなー」
「マスター、部屋の掃除終わったけど…」
「じゃあ、テーブルにクロスをしいて、食器を磨いておいてくれ。あれ、ネッピアは?」
「兄さんなら、飾り気がないからって花を探しに行ったわ」
「そう、ネッピアらしいな」
美意識が強いネッピアは何も飾りがない屋敷が気に入らなかったのだろう
せめて花だけでもと、思っての行動だろう
「ツナさん、見てください、近くに果物がなっている場所を見つけたんです!」
そういって綱吉に見せるように腕いっぱいに果物を抱えてきたのはフルミネだ
「すごいな…あとで、デザートで食べるから盛り付けといてくれ」
「はい、綺麗に盛り付けますね!」
果物を落とさないように慎重に運ぶフルミネを見送っていると、また誰かが入ってきた
「沢田さん、見てくださいよ、大量ですよ」
「テンペスタ、それは…」
「はい、少し先を行ったところに川があったんで、そこでちょいちょいと」
「釣ったのか?」
「あっ、違います。川ん中に入って素手ですから」
ピチピチと跳ねる大量の魚が入った籠を見せながら、魚を素早く掴む動作を見せるテンペスタに綱吉は苦笑する。
「んなわけで、こいつらを調理するんで台所借ります」
「ああ、楽しみにしてる」
「はいっ、任せてください。必ず貴方のために美味しく仕上げます!」
綱吉にニコリと微笑んだテンペスタは籠を抱え直し、主のために張り切って作ろうと台所へと向かった
「魚に果物か…それにしてもアイツはまだ狩りをしてるのか?遅いな…」
フルミネとテンペスタが帰ってきた中、まだ一人だけ食料調達の担当が帰ってきていなかった
綱吉が呟いたと同時に背後から声が聞こえた
「誰が遅いだって?」
「…ヌーヴォラ、そうやって気配を消すな」
綱吉は声が聞こえた方へと振り返るとヌーヴォラが綱吉を見下ろしていた
「別にいいじゃない、それよりもこれ」
ドサッと綱吉の目の前に置かれたのは大きな猪や鳥だった
「これは…」
「うん、群れてた鳥と手強そうなやついないかな〜って探してたらこいつがいたから狩ってきた」
「だからってこんなに狩ってきたのか」
「だって、追ってるうちについ本気になっちゃったんだから仕方ないじゃない」
舌なめずりをしながら妖しく微笑むヌーヴォラから綱吉はヌーヴォラが狩ってきた獲物を見つめる。
傷があまりないことを見ると食べることを考えて狩ってくれたのだろう、気まぐれなヌーヴォラは素早く仕留めたり、じわじわと相手を追い詰めたりと自分の気分で決めることがあった為、綺麗なことにホッとしたのは内緒だ
「ところでそれはもしかしてオレがさばくのか…?」
気まぐれなヌーヴォラは狩ってきてそのままということもあり、心配になる。
さすがにあの大猪をさばくには自分では重労働になりそうだからだ
「ああ、それは僕がやるからいいよ。さすがにあの大きさを君にやらせるのは酷だろうしね」
「それは遠回しにオレのことをバカにしていないか?」
やってくれるのはありがたいが何だか自分の気にしていることを言われているような気がした
「バカにしてるんじゃないさ、ただ小さいなって思っただけ」
「お前、わざとだろ…」
「くすっ、まあね。じゃあ僕はこれを外でさばいてくるよ」
猪を肩に担ぎ、鳥を手に持ちながらヌーヴォラはまた玄関から出ていった
「さて、オレも最後の支度をするか」