Long novel

□天空の使者〜第二章〜運命の分かれ道
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「やあ、久しぶりだね。ルシフェル」


豪華な調度品が並ぶ社長室に入った綱吉を出迎えたのはニコニコと肘に机についているクリスだった


「久しぶりって、たった1週間ぶりなだけだろ…」


「何言ってるんだい、君が旅行に行ってる間、ファミリーの皆が寂しがっていたんだよ、それに君に何かあったら心配で」


「由良といいクリスといい、心配しすぎだぞ。ああ、これお土産」


大げさに心配するフリをするクリスはいつものことだ、それにいちいち反応を返すと面倒なことになるのをしっている綱吉は無視して土産が入った袋を机と置いた


「時間がなかったから、土産は適当に選ばせてもらったからな」


「別にそんなのは気にしないよ、むしろ君が私達の為にわざわざ買ってきてくれたんだ。それだけで嬉しいよ」


袋を覗くと、いろいろなお土産が所狭しと並んでいる。
綱吉は適当に選んだと言っているが、自分好みのワインや由良が好きそうなピアス、皆で食べれるように日保ちするお菓子や食べ物が入っていた。
時間がない中、ちゃんと自分たちを考えて買ってくれたのだろうか、
思わず、顔が緩んでしまう

「何ニヤけてるんだ…?」

「いっ、いやなんでもないよ」


「ならいいんだが」


「それで、どうだったんだい?」


もらったお土産を下げ、綱吉が今日ここに来た本当の理由を聞くため、腕を組み直し、綱吉へと視線をむける


「オレが母さんとどこに行ってたかは知ってるか?」

「いや、君が奈々さんが豪華客船で行くリゾートとしか…ハワイとかの南国じゃないのかい?」


「ハワイか…、それだったらどれだけよかったか…」

「……まさか!」


明後日の方を向いてため息を吐く綱吉の様子で、綱吉があそこには行きたくないと言っていた場所が真っ先に浮かび、ハッとする


「そう、そのまさかだ……オレが行きたくなかったマフィアランドだよ」


「マフィアランドって、その名の通りにマフィア達がたくさんいたはずだけど、大丈夫だったのかい?」


「正体はバレなかった…まあ、オレがボンゴレ10代目候補だってことは獄寺のせいでその場にいたマフィア達に知れ渡ったがな」


「獄寺って、君のことを崇拝してるあのスモーキン・ボムか…」


部下の報告や綱吉の話で彼は綱吉の右腕を名乗っている通り、綱吉至上主義者だ。
マフィア達が集まる中、綱吉をすぐに見つけだし、おおかた10代目!と叫んだのだろうと頭に浮かび、苦笑いが出てしまう


「まあ、獄寺の前にリボーンがマフィアランドに行くように仕向けなければ、オレは行かずに済んだんだがな……ほんと着く直前にマフィアランド行きだと言われたときはうっかり素が出るかと思ったくらいだ」

「それは…災難だったね」

「まあ、過ぎたことは仕方ないしな…」


ハァと諦めた目でため息をつく綱吉だったが、思いだしたようにクリスに報告する


「そういえば、久々にアイツらを外に出してやったんだ」


「彼らをかい?久しぶりの外でかなり暴れたのかな」

「ああ、ちょうどカルカッサが攻めてきてたんでな、武装戦艦をちょっとな…」

楽しそうに笑う綱吉に、標的にされた戦艦の末路が浮かんだ。
綱吉を守る彼らも久しぶりの外でかなり暴れたのだろう


「あとクリス、アイツらが暴れたりなかったらしくてな、いくつか狩っておいた」


投げ渡された紙を見ると、そこには最近不穏な動きを見せていたり、前々から危険なファミリーが載っていた。
赤いペンでバツがついている辺り、綱吉達が潰したマフィアのリストだろう


「こんなに…」


「まあ、暇だったからな。それにアイツらもストレス発散できて一石二鳥だろう?」


リストに載ってる数は暇だったからと理由で短期間で消せる数ではない。
少し驚きながらもクリスは改めて綱吉の凄さを実感した



「…クリス」


「……何か君の直感で感じとったんだね」


声の調子を急に下げた綱吉に長年綱吉と組んでいるクリスは綱吉が超直感で何か感じとったのだろうとすぐに考えてついた。
綱吉の直感はハズレたことはなく、綱吉が纏うこの雰囲気は良くないことだと知らせている


「オレの運命を左右する分かれ道を決めるような出来事が近々起きるんだ…」


「君の運命の分かれ道?」

「ああ、必ず近々起こる。だから、些細なことでもいい。何かあったら逐一知らせて欲しい」


「…わかった、気を付けるんだよ」


「ああ、じゃあ頼んだぞ」

踵を返し、重厚なドアを開けて退室する。
廊下ですれ違うタレント達に笑顔で挨拶しながら、事務所を後にした……
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