パラレル
□僕の秘密の可愛い子
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―チュンチュン
雀が外で鳴き始め、朝日が窓から差し込む。
「恭兄、恭兄、起きて」
ゆさゆさと身体を揺さ振られ、溺愛する弟の声に雲雀は覚醒する。
「あっ、起きた。おはよう、恭兄」
「うん、おはよう綱吉」
身体をお越し、布団の脇にいた綱吉を自分の膝に抱き寄せ、乗せると綱吉の額に優しくキスをする。
「うっ、恭兄。もう、6時だよ。風紀のお仕事あるんじゃないの?」
「あぁ、今日の朝はないから時間は平気だよ。朝ご飯食べようか、綱吉」
「うん、オレ、目玉焼き食べたいな」
「わかった、目玉焼きだね。じゃあ、ほら行くよ綱吉」
布団を軽く畳んだ雲雀は綱吉の手を取り、キッチンへと向かった。
―――
「あの…委員長……」
「何、草壁?」
学生達が授業へと励んでいる時間、風紀委員である草壁は雲雀の補佐として応接室で手伝いをしていたが、朝から気になっていたことを聞いてみることにした。
「ずっと、朝から気になっていたんですが…その…委員長の膝に乗っている方はどなたですか?」
よく聞いた、オレ!
草壁がそう心で自分を褒めると返事が返ってきたのは雲雀からでなく、膝の上の人物からだった。
「オレ?オレは綱吉って言うの。小学校の皆はツナって呼ぶんだよ」
「へっ、綱吉さんですか…あの委員長とはどういう関係で…」
元気よく答えた綱吉に草壁は一瞬呆気にとられるも、雲雀との関係を聞く。
だが、それを答えたのは綱吉ではなく雲雀自身だった。
「綱吉は僕の弟だよ、ね、綱吉」
「うん、恭兄。そうだよ」
「………………はっ、えっ、えぇぇぇえ!?」
予想外の答えに草壁は一度固まってから、絶叫する。その途端、雲雀がペンを投げ額に当たる。地味に痛い。
「うるさいよ、草壁。綱吉がびっくりするだろう」
「っつ、すみません」
「びっくりしたかい?綱吉」
「ううん、大丈夫」
自分に向けた冷たい視線が綱吉という少年に向けるときは優しい瞳になり、声も優しさがにじみ出ている。草壁は見たこともない雲雀にあんた誰だと突っ込みたくなったのをなんとか押さえた。
「その少年が委員長の弟だというのはわかりました。でも、なんでここに?」
「ああ、綱吉の小学校が今日は休みらしくてね。綱吉を1人留守番させるのは心配だったから連れてきたんだよ」
今朝、朝食を食べている時、今日は学校を休みだと言った綱吉を、親もいない家に1人残すことが心配だった雲雀がここ、応接室に連れてきたのだった。
「まあ、そんなわけだから今日1日、綱吉は僕の側に置くから」
「はぁ、わかりました」
「よろしくお願いします。草壁さん」
なんだか、今日1日不安を隠せない草壁であった。