パラレル

□僕の重要秘密事項
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――僕、雲雀恭弥には他人には知られたくない秘密がある




〜僕の重要秘密事項〜










「委員長、この前の巡回の報告です」


「ああ、草壁か」


書類に集中していたが、手を止め、報告を促す



「では、報告をします。先日の巡回ですが…」


先日、行った放課後の巡回の報告を聞きながら、淹れておいた少し冷めた紅茶へと手をのばす。


ここは応接室。
自分が風紀委員の拠点として得た場所だ。

そして、自分は風紀委員の委員長を務めていて、今、報告をしているのは自分の補佐役である副委員長だ。

「…でなわけでして、次の巡回では……」


「ヒバリ!今日こそ、てめえを果たす!」


報告を遮っていきなり入ってきたのは、確かこの前の風紀検査でひっかかっていた…


「獄寺隼人だ!てめえ、これでもくらいやがれ!」


飛んできたダイナマイトを瞬時にトンファーで払いながら、一撃を与える。


「名前なんてどうでもいいよ。危険物に不法侵入、それにまた服装違反かい?」

「うるせー!次こそ、果てやがれ!」


「ワォ、単純すぎるよ。違反は違反だ、咬み殺す」


草壁はとっくに避難していたので、ここにいるのは自分と目の前の生徒だけだ。
とりあえず、また飛んできたダイナマイトを開いてあた窓の外へ振り払い、トンファーを構え直す。


バカは咬み殺さなきゃね


「覚悟はいいかい?」














―――

「ただいま、今帰ったよ」

咬み殺した奴の後片付けを草壁に頼み、学校から少し離れた自宅の玄関を開け、リビングへ入る。

だが、いつもなら迎えてくれる存在がいないことに首を傾げる。


と、その時階段を下ってくるかわいい足音に気付く。


孤高を愛し、風紀の乱れを嫌い、鬼の風紀委員長と恐れられているが雲雀にはどうして他人には知られたくない秘密、いや存在があった…


「恭兄、お帰り!」


そういって、雲雀へと抱きついてきたのは蜂蜜色のふわふわした重力に逆らった髪、くりくりとした琥珀の大きな瞳を持つ少年だ。


「ただいま、綱吉。」


そう言った雲雀の表情は、普段の雲雀ではあり得ないような穏やかで優しいものだった。


「今日も風紀のお仕事お疲れ様!」


「ありがとう、綱吉。ああ、もう綱吉は本当可愛いね」


そう、雲雀がどうしても他人に秘密にしておきたい存在は弟の綱吉だ。
雲雀の弟である綱吉は今年で10になった小学生で、何でもそつなく出来る雲雀と違い、綱吉はどこかおっちょこちょいでドジな子だった。
そんな弟を雲雀は溺愛していたのだ。


「もう、恭兄ったら。オレ、男だからそんな事言われても嬉しくないよ」


むぅっと頬を膨らます綱吉に雲雀はぎゅっと抱き寄せた。


もう、本当に可愛いんだから



「恭兄、苦しいってば!」

「ああ、ごめんね綱吉」


そっと離してやると、まったく恭兄は…と拗ねる。


うん、拗ねても可愛いな…綱吉は



「ねぇ、綱吉。今日は久々に夕御飯を一緒に作ろうか」


「えっ、本当!オレ、だったらハンバーグ作りたい!」


「別にいいけど、ハンバーグでいいんだね?」


「うん、だって恭兄が好物だし、オレもハンバーグ好きなんだもん」


「わかったよ、じゃあ、準備しようか」


ハーイ、と元気のよい返事を聞きながら下ごしらえをしようと冷蔵庫をあさるのだった。






僕には他人には知られたくない子がいる。

それはちょっぴりドジで、小動物のように可愛い弟だ。

僕の弟、綱吉は何か惹き付けるモノを持っているらしく、そんな綱吉を僕はとても大事にしているからね。

だから、可愛いくて仕方がないこの子を誰にも見せたくないんだ。


この子を愛でるのは僕だけで十分だから…


それが
“僕の重要秘密事項”



     〜END〜
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