パラレル

□並盛山のヒバリさん   〜夜の訪問者〜
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―――いつものように平和な並盛山。この山の支配者である黒豹のヒバリはこの山で知らない者はいないと言う程の有名な黒豹だ。
彼は群れるのが嫌いで、治安を乱す奴は片っ端から咬み殺してきた。そんな一匹狼ならぬ一匹黒豹の彼に最近一緒に連れそう者が現れた。


「ツナ、何やってるんだい?早くいくよ」


「ミャウ、待ってくださいヒバリさん」


大きなヒバリの後を小さな体で一生懸命ついてくるのはまだ幼い山猫のツナだ。艶々した綺麗な黒の毛並みに鋭い目付きをしたヒバリに比べ、ふわふわした茶色の毛並みにくりくりした大きくて丸い目をしたツナはどこか庇護欲をそそるような愛らしさだった。
何故、まだ幼子なツナがヒバリといるかと言うと、弱り果てたツナを保護したヒバリがその愛らしさと守ってくださいオーラにやられ、自分のモノにしたいと思ったからだ。そんなヒバリはツナを可愛がっていた。

「ふぅ、仕方ない子だね。ほら」


「みっ……」


遅れていたツナに近づくとヒバリはツナの首根っこをくわえ、そのまま自分の住みかへと帰っていった。












―――
「みぃ、ひどいです。自分で歩けたのに…」


「だって、遅かったんだもん」


「みぃ」


住みかに戻り、ツナはご機嫌ななめ中だ。どうやらヒバリに首根っこをくわえられたのが恥ずかしかったらしい。ヒバリにそっぽを向き、シュンとなってる姿は可愛らしかった。
ヒバリはいつも通りの表情をしているが内心では

何、この子。シュンてしてる…。すごい可愛いんだけど…。

何て思っていた。
だが、いつまでもそっぽを向かれるのは流石に嫌なのでツナの機嫌を直すべくツナに向かい合うように座った。


「ほら、機嫌を直しなよ。機嫌を直したら明日ツナが好きそうな場所に連れっててあげるから」


「本当?」


「僕は嘘が嫌いだよ。約束するから機嫌を直しな」


「ミャウ、わかりました」

どうやら機嫌が直ったらしい。何故なら可愛い尻尾を元気に振っており、シュンと垂れ下がっていた耳はピンっとしていたからだ。


「約束ですよ!」


「あぁ、わかってるよ。さて、そろそろ暗くなるね。ツナは寝なよ」


「ヒバリさんは?」


「僕はまだ起きてるよ…」

「やだ!ヒバリさんが起きてるならオレも起きてるもん」


そういうとツナはヒバリに飛びつき、離さまいと小さな爪をたてていた。


「痛いよ、離しなツナ」


「やだもん、ヒバリさんと一緒じゃなきゃ離さないもん……」


「はぁ、わかったよ。僕も一緒に寝てあげるからもう寝な」


「じゃあ寝る……」


ヒバリがツナを宥めて寝かしつけようとしたときだった。


「よう、ヒバリ。お前が子猫を溺愛してるって噂は本当だったらしいな」


「リボーンか…。気配を消して現れないでくれる」


ヒバリが振り向いたとき、そこにはヒバリと同じ黒い毛並みを持つ一匹の狼がいた。彼の名前はリボーン。ヒバリの知りあいでヒバリがツナとは違う意味(戦友みたいなものだ)で気に入っているものだった。
そんな彼がいつの間にか自身の住みかに入ってきたかはいつものことなのでヒバリは気にしなかった。


「でっ、何の用だい?僕はこの子を寝かしつけないといけないんだけど」


「オレ様の事は気にするな。ただ噂を確かめに来ただけだからな」


「だったら帰ってくれるかい?確かに君と話すのもいいけど…。今はこの子と寝るんだから」


「ヒバリさん…。その狼は誰ですか?」


今まで、ヒバリの影に隠れて二匹の会話を聞いていたツナがリボーンを警戒しながらもヒバリ腕を遠慮がちに引っ張りながら聞く。そんなツナにヒバリは優しく答えてやった。


「僕の知り合いのリボーンだよ。だからそんなに警戒しなくても平気だから…」

「怖くない?」


「大丈夫だよ。それより悪いけど先に寝ててくれるかい?」


「どうして?」


「リボーンに用事ができてね…。長くなりそうだから先に寝てて欲しいんだ。ツナはいい子だからできるよね?」


「みっ、できるもん…」


ヒバリはツナがそういうと言うことを聞くことを知っていた。現に今もツナはちゃんと言う事を少し渋々ながらも聞いたからだ。
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