パラレル
□並盛山のヒバリさん 〜小さなパートナーとの出会い〜
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――ある並盛山という所にヒバリという黒豹の、この山の支配者がいました。
このヒバリは群れが大嫌いです。もし、目の前で群れたなら、
「ねぇ、なに群れてんの?咬み殺すよ」
と、言って咬み殺されてしまいます。
しかし、ヒバリのおかげでこの並盛山を荒らすものはいなかったのでいつも平和でした。
――ある日のことでした。ヒバリはいつものように山を荒そうとする奴を咬み殺し、群れてた奴を散らして自分の住みかに戻ってくるとそこには見知らぬ茶色い物体がうずくまっていました。
「ねぇ、何で僕の住みかに勝手にいるんだい?咬み殺されたいの?」
――ビクッ、
その茶色い物体は顔をおそるおそる上げ、ビクつきながらヒバリを見つめ、震える口をゆっくり開きました。
「ごっ、ごめんなさい。オッ、オレはあの、その山猫で…、逃げてたらここに着いて…」
ヒバリは山猫を見ました。まだ幼さが残る子猫なのでしょう。
身体は小さく誰かが守ってやらなければ死んでしまう程に弱っていました。
「ふ〜ん、でっ、君の名前は何ていうの?」
「えっと…、ツナって呼ばれてたような気がします」
「ツナね、君は何から逃げてたんだい?」
ツナという子猫はヒバリの質問にビクッと怯えなが答えました。
「…人間です。何かオレは特異変異らしくて、オレの感情が高ぶったりすると今は琥珀色ですが瞳の色がオレンジに変わって、毛色も金色に変わるらしくて…。それで、研究所とかに連れていかれそうになって…」
「そう、ねぇ君は行く所があるのかい?」
「ないです…、どうしたらいいかわからなくて…」
ヒバリは少し何かを考え、そしてツナに近づきその身体のすぐ側に腰を下ろしました。
「だったらここにいなよ。僕は君を気に入ったから、僕が君を守ってあげるよ」
そういうとヒバリは弱っている身体を温めるかのようにツナを囲むように伏せ、優しく舐めてやりました。
「いいんですか?オレは役たたずだし…」
「いいんだよ。君は君なんだから。もう、寝なよ。僕が側にいてあげる」
ツナは安心したのか可愛い寝息をたてて眠り始めました。ヒバリはそれを見て、なんだか優しい気持ちになりながら自身も眠くなったのか、ふぁ〜と欠伸をして眠りに就きました。
穏やかな昼下がり、黒豹と小さな山猫が寄り添いながら眠っていました。
二匹が目覚め、仲良く暮らしていくのは
また、後の話………。
〜END〜