Novel
□梅雨と黒てるてる
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「てるてる坊主〜明日、天気にしておくれ〜」
「おい、ツナ。それは何だ……?」
ご機嫌に鼻歌を歌う教え子に、リボーンは頬が引きつりながらも窓にいくつかのてるてる坊主を飾ってある場所を指す。
「えっ?見てわかんないかな?てるてる坊主だよ」
外の雨は激しく降っているのだが、にっこり笑う綱吉にリボーンは怒気が抜かれそうになるが、並ぶてるてる坊主の中の異質なものをもう一度目に止めると、震える声を押さえ、綱吉をにらむ。
「てるてる坊主?あぁ、確かにてるてる坊主だな……だが、何でその中に黒い見たことがあるんだツナ?」
「ムッ、うるさいね君は」
今まで窓側を向いていた白いてるてる坊主の中の黒てるてるはくるりとこちらを向くと、ローブの下からでもわかるようにムッとする。
「てっめ、マーモン!何でここにいやがんだ!?」
黒てるてる坊主基、マーモンはふわりと床へ降りるとハッと笑う。
「何で君に一々言わなきゃならないんだい?」
「おい、ツナ!何でマーモンがここにいるか説明しろ」
チャッと銃口を綱吉に当て、笑って問うが目が全く笑っていない…
「わっ、危ないよ!全くリボーンは……」
「ツ〜ナ〜?」
「ひっ、わかったよ。説明するから!」
いつもより声の低いリボーンはやはり目が笑っていない。
今までの体験で素直に従っておかないと酷い目に会うことを学習していたのでリボーンに何故、マーモンがここにいるかの経緯を話すことにした。
「実は…さ…、今日の学校の帰りに山本と獄寺君と別れてから、急に雨が降ってきてさ…、傘持ってなかったから走って帰ろうとしたときに……その…道端に…」
「マーモンがいたとかか?」
「うん、マーモンも一応、ヴァリアーだし、なんかの任務の後かな?って思ったんだけど、濡れてて寒そうに震えてたから…」
「ほぉう、それで連れて帰ってきたと?」
ぴくりとリボーンの眉が動くが、綱吉はおそるおそる頷く。
「うん、ほらだって風邪引いちゃうかもしれないだろ?ね、マーモン?」
「ムッ、そうだね。助かったよ、綱吉。あのままだったら風邪引いてたかもね」
綱吉がぎゅっとマーモンを抱き寄せると、今まで黙っていたリボーンからプチンッと何かが切れる音がした。
「こぉんのダメツナが!!何でもかんでも拾ってきやがって!今すぐそれを元いた場所へ戻してこい!!」