頂き物

□プレゼント
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「う、うん・・・あの・・・それから・・・ね・・・」
また言葉を切り赤くなった井上の手には、赤いリボン。
恭しく両手で持たれたリボンが彼女の白く細い首筋にシュルンと巻かれ、結ばれる。
「・・・・・・」
綺麗な蝶結びはそれが”誕生日プレゼント”であることを如実に物語っていた。

 

自分が欲したことを彼女が忘れてなかった事実に、熱いものが込み上げる。

「・・・いいんだ、な・・・?」
小さく小さく頷いたまま目を伏せてる彼女との距離がもどかしくて、手を伸ばす。

触れてしまったら、もう戻れない。
そう分かっていても触れずにはいられない。

指先に感じる体温、ぴくりと動く体。
少しの罪悪感、しかしそれ以上に強い何かに突き動かされて。

「あ・・・!」

小さな躊躇いの声なぞ耳に入らなかったように掴まえて、強引に腕の中に閉じ込めた。
冷房に慣れた体に心地よい体温が染みて、俺の体を内側から熱くする。

「井上・・・」
名を呼んで細い顎に指をかければ、先刻より尚潤んだ瞳が弱弱しく俺を見る。
瞬時に獲物を捕えた肉食獣の如き獰猛な衝動が身の内に湧き上がる。
ずっと抑えて来た、奥の奥からの衝動。
それが欲するままに彼女の桃色の唇を塞いだ。
「んっ・・・ふ・・・ぅ・・・」
ぎこちなくも真剣に、深めてゆく口付け。これから先を予兆させるために。
とくとくと響く互いの鼓動さえ重ねたくて、更に強く抱きしめながら。



清潔さ漂うシーツの上に、愛しい身体をとさりと押し倒した。
洗いたての香りに、彼女がこの事態を考えていてくれたと改めて悟って幸せが込み上げる。

抵抗しない彼女の服を、肩からするり、と抜いて脱がせにかかる。
現れる透き通るような白い肌。首に巻いた赤いリボンを尚映えさせて。
その赤を映すように染まりゆく肌を指で辿れば深く柔らかな谷間に誘われる。
ぴくり、と震えるお前。どきり、とする俺。
「怖い、か・・・?」
まだ理性を保ってるアリバイのような問いかけに、ふるふると首を振る。
「大丈夫、だよ?ただ・・・」
「ただ?」
「幸せすぎて、どうしたらいいのか分からない、のかも・・・」

ああそんな、そんな可愛いこと言ってくれちまうなんて。
俺の心は舞い上がる寸前。その昂ぶりのままに彼女の背に手を潜り込ませた。
「ひゃぅ・・・!?」
あっけなく外された布地。恥ずかしそうな声、隠そうとする腕。
しかしそれを阻止した俺は、代わりにその露になった膨らみを手で包み込んだ。
この上なく良い香りのするその肌は、暑さからか緊張からかしっとりと手に吸い付くよう。
その感触に、軽く上がった井上の甘い声に。

俺の理性は呆気なく吹き飛んだ。





やわらかくて、ふわふわで。
どこもかしこも甘くて、愛おしい。

宝物だ。
そんな言葉が浮かんでは、身の内の熱さに溶けていく。


大切で、大切すぎて。
絶対護ると誓ってた。
なのに今はもう、この手に収めて離したくない気持ちばかりが暴れまわる。
例えこの手の中で壊れてしまおうとも、離さないと。

ああもう何も、何も考えられねぇ。
ただ無我夢中でそこに溺れ込んでゆくだけの俺。
深く深く柔らかいあの赤の奥へと沈み、揺らぎ、埋めゆく。






夢のような時は過ぎ行き。
腕の中の温もりをもう一度強く抱きしめる。
「黒崎、くん・・・」
まだ夢から醒めないようなその声に応えようとして気が付く赤いリボン。解けかけ。
絡まないように優しく首から外してお前に囁いた。
「ずっと大切にするからな?」


ああ、最高の誕生日プレゼントを、な。



end



 素敵!ぐわ様の話ゲットしてしまいました〜!
いいなぁ〜、こんな素敵な文章書けたらな〜。本当に勉強になります。
やっぱりぐわ様の書く織姫は健気で可愛いです。嫁入り本気で考えておいてください(笑)。誕生日に織姫がプレゼントなんて、一護ったらエロエロなんだから〜。男の子は少しエロい方がいいですけどね。
ぐわ様、頂いてすみませんでした〜!でも快く許可してくださってありがとうございます!そして一周年おめでとうございました!
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