長編

□WEIGHT OF WORLD 4
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「・・・・!」
恋次は一護の手を振りほどいた。席に座っている織姫の顔が青くなっていく。
「・・・・ちょっと、阿散井・・・・。」
たつきが恋次を止めようとする。
「いいから、お前は黙ってろよ。」
「・・・・・・・、貴様とて・・・・。」
視線はルキアに戻る。
「貴様とて、井上と随分と仲が良いではないか!朝から楽しそうに話しておったではないか!」
「ああ、それがなんだよ!?仲がいいんだ、なんか文句あんのか?」
「・・・恋次・・・!」
一護は唇を噛み、恋次を睨みつける。
「でも、お前らの方が仲がいいのかもな?行きも帰りも昼もずっと一緒だもんな。しかも、同じ屋根の下で暮らしてんだろ?お前らにはかなわねぇけどな。」
「・・恋次!」
もう一度恋次の襟をつかんだ一護。
「オマエ、ルキアの気持ち考えてやれよ!ルキアはな・・・!」
「ルキアルキアうるせぇよ!」

ダン!!

大きな音で喧嘩がとまる。
がたがた体を震わせている織姫にたつきが抱きしめる。

「・・・・・いい加減にしてくれないかな・・・。朝からうるさいんだよ。」
分厚い本を机の上にのせている石田が立ち上がった。そして眼鏡をくいっと上げる。
「まったく、昨日倒れたばかりの井上さんの前でそんな大声だして、君たち非常識じゃないか?喧嘩するなら外でお願いするよ。」
石田は織姫に近づくと、優しい笑顔で話しかけた。
「井上さん、部の展示会のことで話があるんだけど、いいかな・・・・?」
「あ、う、うん!」
織姫は石田と共に教室から出ていく。
自分たちの言動を後悔している一護と恋次の頭をたつきが殴った。
「・・・・この馬鹿男ども・・・・!」


「はい。」
石田はオレンジジュースを織姫に渡した。
「あ、ありがとう。」
「大丈夫かい?」
「う、うん・・・・。」
「教室は騒がしからね、ここなら静かだし部の話もしやすい。」
「・・・・・・石田くん。」
「なんだい?」
「・・・・・ありがとう。」
「べ、べつに・・・・!」
「“大したことしたわけじゃない”?」
照れ隠しをしようとする石田。いつも吐く人を突き放すようなセリフも照れからくるものだと、織姫は分かっていた。
「ぼ、僕は・・・本当に部の話をしようと思って・・・・!」
「うん。そっか、でもありがとう。」
「・・・・・井上さん。」
「あはは、石田くんにはいつも情けない姿見せちゃって・・・・・。」
「・・・・・そんなこと、ないよ。井上さんはただ一生懸命なだけだ。井上さんはよく頑張ってるよ。」
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