その他

□気がついたら額に『肉』
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…―キーンコーンカーンコーン


おそらく小中高校全国どこでも同じであろうチャイムが鳴り響き、生徒たちはわずかな休息に入った。


すかさずケータイを開く者、友の席に向かう者、トイレにでも行くのか教室を出て行く者などさまざまいる中で、友のもとに向かう組な4人は自然と机に突っ伏したままの元親のもとに集まっていた。


しかし―…


「Oh、こいつ寝てやがるぜ」


元親はチャイムの音にも気づかず眠りこけていた(先ほどの授業は開始5分で睡眠学習になっていた)。


「チャイムの音でも起きぬとは…」


「耳栓でもしてんじゃないのー?……あれ、してないな」


おまけに佐助が髪をかき上げたのにも気づいていない。


そんな様子を見て、政宗がなにやらニタニタと笑いながら自分の席から何かを持ってきた。


それを見て4人は何をするのが予測がつき、いたずらが大好きな幸村と何気にいたずら大好きな元就も目を輝かせてすぐに同じものを持ってきた。


そして顔を見合わせて笑うと、同時にキュポンとふたを開けた。


そう、3人が持っていたのは学生なら誰もが1本は筆箱の中に入れているであろうネームペンだった。


暗黙の了解ですでに誰がどこに何を書くか決まっていたのか、彼らは残り少ない休み時間のすべてを使って元親の額に、頬に、顔のいたるところに書いて書いて書きまくった…!


ちなみに5人の中で1番の良心(時と場合による)は次々に出来上がっていく芸術に腹をかかえて笑い転げていた。


それにしても恐るべきは顔に落書きをされようと隣で爆笑されようと全く起きる気配のない元親だろうか。


チャイムが鳴ると彼らは満足顔で席に戻っていった。


次の授業は竹中先生の数学だったのだが、彼が入ってくる前に元親は完全に机に突っ伏すような姿勢になっていたので顔の落書きには気づいていないようだった。


しかし、彼は居眠りしている生徒をそのまま放置するような優しい先生ではなかった。


おもむろに胸ポケットからボールペンサイズの筒を取りだすと元親の方に向かって振り下ろした。


するとソレはムチのように伸びながら、元親の頭にクリーンヒットした――どういったわけかその前にいた生徒たちには髪の毛1本触れていない。


痛みに起きた元親は一瞬周りの状況が把握できていなかったが、すぐに視界に竹中を入れると納得したようだった。


その竹中はどういった原理か数メートル伸びていたであろうソレをもとの大きさに戻して胸ポケットに戻しようやく元親に視線をやったのだが、


「長曾我部君、目は覚めたかな……どうやら1度顔を洗って来た方がいいみたいだね」


元親の顔を見て1度眼を瞬いた。


前衛的なアートがそこかしこに描かれているのに笑わなかったのは流石といえようか。


ふに落ちない顔をしながらトイレに向かった元親は鏡に目をやると階下にまで轟くような声で絶叫した。


「なんじゃこりゃぁぁあ!!?」


『ぶっ、アハハハハハハ…!!!』


元親のそんな叫びを聞いて4人は大爆笑した。


そして元親はごしごしと力をいれてこすったのだが落ちない一文字を見て今度は怒りの叫びを上げ、どすどすと足音を立てて戻ってきた。


入って来た彼の顔を見てしまった哀れな者は必死に笑いをこらえなければならなかった――だって笑ってしまえば彼の怒りはきっとこっちに来てしまう。


だがそんな中で構わず大爆笑している4人に元親は詰め寄っていった。


「…おい、何だこれはよぉ…?」


わざわざ前髪をあげて指をさしている額の真中にはでかでかと『肉』の文字。


「な、何って…キン○クマンの証だ…ふっ…ククッ…!」


「ちょ、誰よ誰よ、油性で落書きしちゃったのは?…ぶふっ!」


「そ、某では……!!」


幸村はそこからは笑いでもはや言葉になっていなかった。


「お、俺だ…せっかくだから落書きのClicheを書いてみた…ククッ…!!」


誰もかれもが笑いで震えながら苦しそうに口々に言うと、ついに元親がキレた。


「テメェら、ふざけんじゃねぇぇぇえ!!!」


「…やれやれ、今は授業中なんだけどね。毛利、猿飛、真田、伊達、長宗我部、マイナス10、と」


呟きながらそう出席簿に書かれたことに、彼らは誰一人として気づいていなかった。




<fin.>







あとがき

元親は絶対いじられキャラだと思います

ちなみに眼帯は目の治療とかする時の白いやつ(戦国のままだと額に文字書けないし(笑)

あと4人の席は

 □ □ 元親 □ □ □
 □ □ 元就 幸村□ □
 □ □ 政宗 佐助□ □

こんな感じ?元就と佐助は前と横が寝た時にはっ叩いて起こす役(笑)

にしても額に肉…いつか誰かにやってやりたいなぁ…←ぇ

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