その他

□寒い日
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その日は、雪こそ降らなかったものの、木枯らしの吹く寒い日だった。


朝早く、雲雀は珍しく私服で家を出た。


そしてそのまま電車に乗り終点まで行くと、さらにそこからバスに乗った。


着いた所は並森から遠く離れた場所で、こんな朝早いというのに待ち人はすでにそこに来ていた。


「…もう来ていたの。暇なんだね」


「早く恭弥の顔が見たかったのでつい早く来てしまいました」


「……ふん、まあ僕を待たせなかったのは誉めてあげてもいいけど」


「ありがとうございます。――それにしても、ずいぶん重装備ですね」


骸は雲雀の格好を見てそう言った。


それもそうで、雲雀は黒のコート――袖口から少し見えているセーターがかわいいとは骸の(げん)――のボタンをしっかり止め、白いマフラーとさらには白い耳当てまでしている。


ちなみに骸は黒のセーターに紫のダウンジャケットという格好だ。


「うるさいよ。僕がどういう格好してようが関係ないでしょ」


「そうですが――クスッ、寒がりな恭弥ってかわいいですね」


「…僕をバカにしてるの?」


「そんな…。ただ思ったことを言っただけですよ」


「……咬み殺す」


そう言ってトンファーを構えようとする雲雀を骸はやんわりと止めた。


「すみませんでした。機嫌を直してください、恭弥。今日はせっかくのデートなんですから」


「……そこまで言うなら許してあげるよ」


雲雀は、その言葉にそっぽを向いて気持ち小さい声で呟いた。


その頬は少し赤く染まっている。


「ありがとうございます。さ、では行きましょうか」


そう言って骸は雲雀の手を取って歩き出した。


雲雀はその顔をさらに真っ赤に染めたが、手を振り払うことなくされるがままだった。


「人が来たら離してよ」


「はいはい」





<fin.>









あとがき

これはある画像から思いつきました

とりあえずツンデレ雲雀になってれば……ハイ←

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