その他
□子供扱い
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午後3時10分前、この時間になると浮竹はよっぽど調子が悪くない限りお茶の用意を始める。
そして午後3時、時間ぴったりに彼はやって来た。
「浮竹さん?入りますよ?」
そう声をかけて部屋に入って来たのは、数年前に異例の零番隊の隊長に就任した、黒崎一護だった。
「やあ、いらっしゃい。今日は清音に買って来てもらった練り菓子があるんだ」
そう言って座るよう促して、お茶をいれる。
そしていれたお茶を飲みながら一護が話し始めた。
「やっぱり浮竹さんがいれてくれたお茶が一番美味いな。仙太郎や清音がいれてくれるのとはどこか違う気がするよ」
「そうか?そう言ってもらえると嬉しいな」
「でもさ、こんなの毎日やってもらっていいんスか?」
"こんなの"というのは2人でお茶を飲みながら一服するこの一時のことであり、それは一護が零番隊隊長に就任してからほぼ毎日のように行われていた。
「もちろんだよ。それに俺もこうやってお茶を飲みながらゆっくり話ができて嬉しいんだから。
他の隊長たちは皆忙しくて滅多にこういったことはできないし、清音や仙太郎にもこれ以上余計なことをさせられないしな」
「はぁ…ならいいんスけど」
「それよりも、隊の方はどうなんだい?」
「浦原さんと夜一さんのおかげで何とか回ってます。今度、次回の卒業生と他隊の何人かをこっちにもらえるみたいですし」
そう言う一護の顔はどことなく嬉しそうで、浮竹も自然と少し顔が緩んだ。
「よかったじゃないか!…となると、初めての一般死神ということになるのかな」
「はい!……でも隊長としてちゃんとやっていけるか不安で……」
一変して不安そうな顔になる一護。
まあそれは仕方ないことだろう。
普通なら平隊員から始まって(一部席官からだが)順を追って副隊長、隊長と上がっていくのに対して、一護は尸魂界にやって来てすぐに零番隊隊長に就任。
いくら経験者の浦原と夜一が副隊長についているとはいえ、経験不足は否めないだろう。
「こんな人間上がりの未熟者について来てくれるのかとか……いろいろ考えちゃってさ」
「そうか……、だがそんなに気負うほどのことでもないと思うぞ」
「そう…ですか?」
「ああ。君の実力は皆知っているし、尸魂界も何度も君に助けられた。
清音や仙太郎から聞いた話では、中央霊術院の生徒の中には君を尊敬している者もたくさんいるらしいよ」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。それに君には優秀な副官もいるじゃないか。だから君は君にできることを、自分の速度でやっていけばいい」
焦ることはないんだよ、と頭を撫でてくる浮竹に、一護は少し照れたように言った。
「こ、子供扱いはやめてくださいよ!これでも50は超えてるんですから!」
「ははっ、俺に取ってはまだまだ子供だよ」
ぶすーっとした一護に、浮竹は相も変わらず頭を撫で続けるのだった。
<fin.>
あとがき
あくまでメインは浮竹さんです!
浮竹さんが子供扱いするのって一護くらいしか思い浮かばなくてですね……
で、話の中で"これでも50"って言ってたのに、尸魂界には数年前に来たとか書きましたよね…
あれは、中年すぎてうっかり事故で現世の体が死んじゃって、尸魂界に来たんですけど、霊体って精神体っぽいじゃないですか?(あれ、私だけ?
だから、現世での体は中年オヤジ(←)でも、霊体はピッチピチの高校生ってことです(笑)
最後に、このお題をやろうと思った理由でも書いておきます
その理由は――――ただ単に浮竹さんが大好きだからです!!!(爆)