その他
□恋するヴァンパイア
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「ハァ…」
窓際に座って頬杖をついて何度目かのため息をついた綱吉を見ながら、山本は獄寺に話しかけた。
「なあ、ツナのやつどうしちまったんだ?」
「知らねぇよ。リボーンさんに聞いたら昨日お食事から帰って来てからずっとあの調子だそうだ」
「ふーん…。案外誰かに一目ぼれしたーとかそんなのだったりしてな」
「なっ!!じゅ、十代目が一目ぼれだと!?」
「あくまで可能性の話だけどな」
「それが、その通りかもしれねーぞ」
「リボーンさん!」
2人が話していると突然話に入ってきたリボーンは、さっき仲間に聞いてきた話を言った。
「ツナのやつ、どうやら昨日襲った相手のことがいたく気に入ったみたいでな。いつもなら道路に転がしておくのに家まで送っていったらしいぞ」
それはたしかに通常考えられないことだった。
なぜなら人間は彼らにとってただの食物であり、食事を終えた後のそいつらがのたれ死のうが何しようがお構いなしだからだ。
「そ、それで!そいつはどこのどいつなんですか!?」
そうなれば気になるのはいたしかたなく、勢い込んで聞いてきた獄寺にリボーンは簡潔に答えた。
「雲雀恭弥だぞ」
「んなっ!!何でアイツなんかに!?」
「雲雀なら毎日のように会ってるのに、今更?」
「ああ。理由は本人に聞くしかねぇな。――おい、ツナ」
その呼びかけでようやくリボーンがいることを知った綱吉は目を丸くした。
「あれ、リボーン。いつ帰ってきたの?」
「今さっきだぞ。それよりツナ。お前雲雀恭弥のことを気に入ったって本当なのか?」
「うん。っていうかもう知ってたんだ。さすがリボーン、耳が早いね」
「コロネロが偶然雲雀を運んでるお前を見ていてな」
その言葉に綱吉はそうなんだ、と言ってふうん…といった風に何回か首を縦に振った。
そんな綱吉に、我慢しきれなくなった獄寺が先ほどの勢いそのままに問いかけた。
「十代目!いったいアイツの何がそんなに気に入られたのですか!?」
「血だよ。彼の血はとても甘くてね、芳醇な香りがするんだ。のどごしも爽やかだったしね」
間髪入れずに答えた綱吉は、その味を思い出しているのかうっとりとしていた。
「な、ならどうして雲雀をそのまま帰したりしたんですか!?お気に召したんならここに連れてくればよろしかったのに」
「ああ…うん、そうだね。そうすればよかったかもね…」
ぼんやりとそうつぶやく様は、まるで恋する乙女のようだった。
<fin.>
あとがき
ずいぶん前に途中まで書いて放置してたんで微妙に続きどうするのか忘れてました(え
そしてこれ、どうやって次で終わらせようか←
おまけ↓
「ハハハ、ツナのやつまるで恋する乙女みたいなのなー」
「ホントだな」
「山本!リボーンさんも何言ってるんですか!?」
「だって見ろよ、あの様子」
またも窓際でため息をついている綱吉。
「……乙女だ…」
『だろ?』