波乱万丈記

□1話 プロローグ〜トリップしちゃう?〜
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「明里明里っ、今日だよ!リボーン最新巻の発売日♪」

「もぅ解ってるよ、兎希ちゃん。だってそれ半月前からずっと言ってるじゃん〜」


古谷中学に通う榛葉明里と須賀原兎希は1年の時から親しくしている。

きっかけは、漫画の“家庭教師ヒットマンREBORN!”だった。たまたま、兎希が漫画を購入している所を明里が見かけて声を掛けた。
それから、あれよあれよという間に意気投合し、仲良くなったという訳だ。

待ちに待った放課後になって、兎希は明里の手を引っ張る。


「早く行こう!明里だって続き読みたいでしょっ?」

「まぁ…確かに読みたいけれど」

「カッコいいツナがいっぱい載ってるかも」

「さ、早く行こっか兎希ちゃん☆」


二人は学校を飛び出した。






「───ありがとうございましたー」


無事に最新巻を手に入れられた兎希は、明里と家路についていた。
やはり会話のネタになるのはリボーンの話だ。


「やっぱツナが一番好きだなぁ」

「骸は?」

「嫌いじゃないよ?でも別好きでもないかなぁ…」

「えー、良いじゃんか。ムクツナ

「やだやだ!私はどっちかってったら、断然ヒバツナ派なのーっ」

「そりゃ私だってヒバツナ好きだけど。でも三つ巴が一番良いよ。絶対に、ムクツナに染めてやるからっ」

「絶っ対に、染まらないよ。だってツナを乗っ取ろうとしてる骸なんて!」

「あれはもう照れ隠しなんだって!後に引けなくなっただけっ」


━━━方向性は、かなりずれているが。

それにしても、と兎希は軽い溜め息をついた。


「あんたって本当ツナ至上主義だねぇ」

「当然。私は主人公を溺愛したいタイプだもん。今まで好きになったアニメとか漫画でも、殆ど主人公が一番好きだし」

「もしリボーンの世界にトリップ出来たら、真っ先にツナに抱きつきに行くでしょ」

「………行くね」

「全力で止めてあげるよ」

「わぉ、どこぞのオレンジ卿を彷彿させる台詞。でも兎希ちゃんだって雲雀さんと戦いたいって言ってるから、会ったら勝負を挑むでしょ?」

「うん」

「私も絶対止めるから。
大体、トリップだなんて冗談で言ってるだけじゃん。非現実的なこと起こる訳ないよ。夢小説じゃあるまいし」



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