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今回のお題は『○○な彼女』で
・謙也(テニス)
・ジノ(ギアス)
・雲雀(リボーン)
・澄百合学園(戯言)
・ボリス(ハトアリ)
・黄瀬(黒子)
の全六種類です!
まずは謙也くんから、どうぞ。
眩しい太陽が顔をのぞかせ始めた初夏。
テニス部の練習も丁度休憩になり、俺は一人水飲み場へ向かった。
(今日は珍しくハードやったな)
まぁ、無理もない。
全国大会はもうすぐそこなのだ。
必然的に普段よりも部員たちの練習にどこか熱が入る。
そんなことを頭で考え、顔を洗って上に置いたはずのタオルを手探りで探す。
あれ?なんでないんやろ?
顔を上げた俺の目の前には、まさに探していたタオルを得意げにかかげて俺を指差している少女がいた。
またか、と思うのと同時に彼女は口を開く。
「忍足 謙也、勝負せえや!今日こそあんたを倒すで!」
「…お前も飽きひんなぁ」
彼女は女子陸上部の期待の星らしい。(本人談)
種目は短距離。
一回、遊び感覚で50M走をしてからことあるごとに勝負を持ちかけてくる。
感心してしまうほどの負けず嫌いだ。
実はその時も結構ギリギリ勝ちだったので再戦をしたいとは思わないのだが。
いくら断っても彼女は諦めないのだ。
「あんなぁ、俺もうすぐ大会やねん。今はテニスのことだけ考えたいんや」
「おん。全国大会やろ?知ってるわ」
パサッと投げられたタオルを受け止めて顔をふく。
それをじーっと見つめる彼女。…楽しいんか?
「じゃあ浪速のスピードスターの座はあたしに譲るんやな!」
「何でやねん!浪速のスピードスターは俺やっちゅー話や!」
「ええやないか。あんたはモノマネ王子くらいが丁度ええわ」
「それはユウジや!」
拗ねたように唇を尖らせる彼女がどこか子供っぽくて、なんだか可愛らしかった。
悩ましげにふせられた睫毛は白い肌に影をつくった。
こいつ…実はかわええんやな。
…って、ん?俺はなにを思ってるんや!?
「謙也…?」
急に黙り込んだ俺を、彼女は訝しげに見上げる。
そんな仕草も可愛く見える俺はもう末期かもしれない…俺は変態か。
なんだか俺一人ドキドキしているのが悔しくて、俺は彼女の髪をわしゃわしゃ撫で回してやる。
「なっ…謙也、なにすんねん!」
「お前は」
今自分でもなにを口走っているかわからなかった。
「…お前は、浪速のスピードスターの彼女・ってポジションで充分やろ!」
「はぁ…っ?」
驚いた顔はみるみるうちに林檎のように真っ赤に染まった。
そして「次は負けへんからな!」という捨て台詞を残して俺の前から疾風のごとく走り去っていった。
「あいつ…やっぱ速いなぁ」
負けず嫌いな彼女!
(スピードスターカップルなんて素敵やろ?)