短編
□過去拍手
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今日は待ちに待ったハロウィン!
お菓子がもらえる日。
なら…片っ端からもらいまくってあげましょう!!
「それで、最後に俺の所に来たってわけ?」
「そうよ。トリックオアトリート!」
私の両手に抱えられた大量のお菓子を見て面白そうに笑うエース。
他のみんなにはもうもらい、エースが最後なのだ。
(ビバルディとペーターが大量に用意してて持つのに大変だったけど…)
「こんなにあるなら俺のはいらないんじゃない?」
「いるの!もらいまくる、って決めたんだもん」
「ふぅん…。あはははっ!そんなに食べると太るぜ?」
「うっ…!女の子にそのワードは禁句よ!!
その分ちゃんと動くから大丈夫!」
「へーーぇ」
ニヤニヤ笑うエースが少しむかついたので頭をポカリと殴っておいた。
…この騎士には全く効果がなかったけれど。
「もうっ…お菓子あるの?ないの?どっち!?」
「うーん…確かここら辺に…」
ガサガサとポケットの中を漁る。
聞いた本人がなんだがエースが用意してるなんて意外だ。
てっきり用意してないのかと思っていた。
「あ、あったぜ」
「本当!?」
ポケットから出されたのは綺麗な飴玉。
私、飴好きなのよね!
「ありがとう、エース!」
早くちょうだい、と手を出すとエースは悪戯気に笑った。
(嫌な予感…)
エースは飴玉の包み紙を丁寧にはずし、それを口の中に入れた。
エ ー ス の 口 の 中 に。
「あーー!!!」
私が声をあげると即座に聞こえるバリンバリンという飴を砕く音…。
「食べちゃった」
「食べちゃった…じゃないよ!ひどい!意地悪!鬼畜!腹黒騎士〜〜!!」
ペロリと舌を出すエース。
反省の色が全くと言っていいほど感じられない。
「くれないなら初めから言ってよ!」
「ごめんごめん、あんまり飴が美味しそうだったからさ。あはははっ!」
ふと気付くと何故か私とエースの距離が近い。
近すぎる。
「エース?ちょっとどいてくれない?」
「嫌だと言ったら?」
「は…?」
私が体重を預けていた壁に私の顔の横にくるように手をつく。
そしていつものようにニッコリと、爽やかに胡散臭く笑う。
「お菓子、俺持ってないからさ…悪戯してっていいぜ?」
「な、なにを言ってるのよ!」
「もしくは…」
「トリックオアトリート?」
「へ?」
「あ、人からもらったやつはいらないぜ?」
私は今はみんなからもらったお菓子しか持っていない。
やばい、この展開は果てしなくやばい…!
「えっ、エース…あのね」
「あれ、ないの?ないなら仕方ないよなぁ?」
「悪戯するのとされるの、どっちがいい?」
…目の前の騎士に軽く目眩がした。
(お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、なんて…望むところだよな!あははははっ!)