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□誕生日
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刹那、ばっとハニーが俺から離れた。



「ロ〜イド、晩御飯だよ〜っ」
「お〜、判った」
「ゼロスも、早く降りてきてよ」
「…あいよ〜」


ばたん。

扉が閉まった。
けど、いやに胸がドキドキする。



「っぶねぇ…」

ハニーが呟いた。
危ない処の騒ぎじゃない。
心臓がいくつあっても足りない…。


「ゼロス、飯行こうぜ」
「あ、あぁ…」

差し出された手を掴んで立ち上がる。
ジーニアスはさっきの光景を見て何も思わなかったのだろうか。



「…ハニー」
「何?」
「そ、その…」
「あぁ、続きなら後でしてあげるから」


邪気のない笑顔で凄い事言うもんだから、赤面してしまう。



「そ、そうじゃなくて…」


何て説明しようか…。

ただ、傍に居たいだけなのに。


「どうした?」
「…何つーか…ねぇ…」


察しろよ馬鹿。

俺さまだってさ、意地っつーか、プライドっつーか、…あるんだよね。


だから、自分からは言いたくない…。




「黙ってたら判んねぇ」
「…はぁ」
「何そのため息」
「何でもない」


ふんっとそっぽを向く。
するとそれが気に障ったのか、ハニーは俺さまを壁に押し付けた。
どんっと鈍い音がして、背中がじんじんと痛んだ。

普段はこういう事あまりしない奴なのに。



「言わないと、判んない」
「もういいよ。どいて、早く行かないと怪しまれるよ」
「…そう」


両手が掴まれた。
俺さまの方が力が強いと思ってたんだけど、全く敵わない。
抵抗が意味を成していない。


「…!?…んぅ…っ」



口を塞がれた。
彼のそれで。


不意打ちはズルいと思う。
息を吸う暇なんてなかった。

酸欠と気持ち良さで頭がぼーっとしてきた。



「…っん…、は、…はに…ぃ…っ」


舌が口内を犯すのを、無意識に許してしまう。
俺の身体はハニーを覚えている。
彼の行為には全て敏感に反応するようにできている。

自分の身体なのに、制御すらままならない。


「ふ…っ、は…ぁ…」

解放。

ハニーはふいっと俺に背を向け、小さく言った。


「今日はこれ以上しない。…一緒に居ような」
「…うん」



俺さまの気持ちを判ってか、彼はそう言って部屋を出ていった。


やっぱり俺さま、ハニーに惚れてる…。




→あとがき
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