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□05.父として
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「よし」

社長室の前で拳を握る。
ファイト、オーと心の中で呟き、俺は中に入った。


「社長」
「…ロイドか。何だ」
「えと…。日曜日、休暇もらえないかなって」
「理由は」
「息子のさ…、最後の運動会なんだ。今日息子に見に来いって言われて。俺、一度も行ってあげた事ねーし」


ふむ。と父さんは考え始めた。
暫くして。

「仕事はどうする。片付くのか?」
「あぁ。やるさ」
「土曜日の7時までに全て仕上げる事ができたら、許可する」
「さんきゅ、父さんっ」


こんなにあっさり行くなんて。
やっぱ冷酷な父さんにも人の血が通ってたんだな。








そして土曜日。


「う〜、終わらねぇ。どーしてだよ、徹夜したのにさぁ…」

俺は机に突っ伏していた。
もう頭が回らない。


「大丈夫…ですか?」
「あ〜、プレセアか。悪いんだけど、コーヒー入れてくんねぇ?」
「…はい」



暫くして運ばれてきたコーヒーは、とても美味かった。
あ、ゼロスには負けるけどな☆


「ありがと」
「何か、手伝いましょうか」
「あ〜、お願……」

言いかけて停止する。


「いいよ。俺の仕事だし」
「ですが」
「大丈夫だって」


精一杯の笑顔を向けて、俺はパソコンの画面と再度にらめっこ。

「無理は、しないで下さい」


プレセアは一言そう告げ、自分の仕事へ。
ありがとな。







時刻は8時半。
俺の仕事は、やっと片付いた。

…けど。


「約束の時間、過ぎちまったな…」

大量の書類を抱えて、俺は社長室へ。
父さんが帰ってたらどうしよう…。
…いや、大丈夫、こんなに頑張ったんだから。


「失礼します」
「…やっと終わったか」
「すみません、遅くなって」

とすっとデスクに書類を置くと、父さんは丹念に書類に目を通し始める。


暫く、本当に暫くして。



「合格だ」

父さんは、少し笑ってそう言った。

「明日、ちゃんと見に行ってやるのだぞ」
「はい…っ」



社長室を出て、一気に脱力。
へなへなとその場にへたりこみ、へらっと笑った。

「かいと〜、とーさんやったぞ〜」


明日が、楽しみだ。
いい所見せろよ、カイト。





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