銀魂へ

□ある日
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…今日も空は青い。
なんか、胸糞悪い…。
アイツの瞳、思い出しちまう。

「何やってんだ、お前」
「サボリ、でさァ」
公園のベンチで昼寝していると、旦那が話しかけてきた。
隣には、やっぱりアイツ。
俺はゆっくり起き上がる。
「ねぇ銀ちゃん、こんな奴ほっといて行こうヨ」
「あぁ?ったく、せっかちな奴だなおい」
…ムカツク。
そんな甘えた表情、俺には一度も見せた事ねぇじゃねぇか。
「おい、チャイナ」
「…何アルか?」
俺が声をかけると、明らかにむっとした表情でチャイナが振り向く。
「ちょっと話があるんでェ」
俺が手招きする。
チャイナは旦那をちらりと見た。
「行ってこいよ」
お。
旦那、よく判ってんじゃん。
「えぇッ、銀ちゃん先に帰っちゃうアルか?」
「職務怠慢なお巡りさんに酢昆布奢ってもらってこい」
旦那が手を振りながら去っていく。
残されたチャイナは。
明らかに不機嫌だった。
「…何ネ」
じっと見つめていると、チャイナが口を開いた。
「話って何アル」
「何でェ、ホントに話があると思ってたんですかィ?」
チャイナが一瞬ほうけたように固まる。
「さ、最低な男ネッ!!」
あーあ、怒らせちまった。
「話がしたいなら、俺がいくらでもしてあげまさァ」
だから、こっち来て座れよ。
…もっと、笑顔見せてくれ。


「…まともな話なら、聞いてあげてもいいヨ」
途切れ途切れに言葉を呟く可愛い声も、唇も、何もかも、全て俺のものにしたい。
「…まぁ、座りなせェ」
俺が隣をぽんぽんと叩くと、チャイナは何の抵抗もなく座った。

…いい事思いついた。

「言っておくけど、俺の話聞くのにはそれなりの代償が必要ですぜィ?」
「なっ!?」
チャイナが立ち上がろうとする。
俺はその肩を抑え、そのまま唇を重ねた。
一気に真っ赤になるチャイナの顔。
だけど、何故か抵抗はしない。
俺は、数秒ほどで唇を離した。
「話、始めて大丈夫ですかィ?」
「…馬鹿ぁ」
俯く横顔を暫く見つめて。
「…やっぱ、やめまさァ」
俺はそう言って愛しい彼女を抱きしめた。
「は、離すヨロシっ」
「絶対嫌」

これほど可愛い女は、多分何処捜してもいないだろう。
…旦那には取られたくない。
絶対。

「あたしね…」
「…ん?」
「お前の事、嫌いネ」
「…あぁ」
「…でもね、それ以上に…」

…大好きアル。


彼女の小さい声が、俺の中に響いた。


…もう絶対離さない。





捕まえた。
俺の、愛しい人。





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