TOSへ

□Another confession
1ページ/2ページ

俺達がこうなったのは、何がきっかけだったのだろう。
気がつけば自然に、“恋人”になっていた…と思う。

告白らしい告白は、してない…というか、記憶にない。
お前と過ごした思い出がありすぎて、あやふやになっている箇所が多いんだ。
…参ったな。
知り合って、そんなに経ってないと思うんだけど。


でも、もし告白という過程があって今の俺達が在るなら、それをしたのは俺。
お前、しょっちゅう女を口説いてるワリに、一途になると途端に乙女化するもんな。

だから、こうなったキッカケは、多分俺なんだ。



「なぁにニヤついてんの、すけべ大魔人」
「なっ!?いつ俺がすけべになったんだよっ」
「いつも『すけべ』でしょーよ。…で、何考えてたの」


探るような目で俺を見る、少し強きな綺麗な瞳。

「別に、…あのさ、ゼロス」
「ん?」
「俺って、その、告白とかしたっけ?」
「…え?」



少し間抜けな声と共に、急に顔を真っ赤にしたゼロス。

そのまま俯いて、喋らなくなった。


「…あの、ゼロスさん…?」
「…わ、忘れたの?」
「あ、やっぱ俺からだった?」


そーだよなー、うんうん、と勝手に納得する俺の服を、ゼロスが控え目に握る。

「ハニー、忘れちゃったの?」


う、嘘…。

目が潤んでますよゼロスくん…。
ちょ、俺泣かせたみたいな?


「あの、ゼロス、えと…」
「…」
「あ、そうだ。あのさ、俺、お前にもう一度告白していいか?」
「…へ?」
「だから…、ほら、俺もう一度お前に告白したいんだ。“昔”の俺じゃなく、“今”の俺の言葉で…駄目か?」



ゼロスの瞳は、きらきら輝いていた。
そのままゆっくりと俺の腰に手を回して、胸に顔を埋める。


「いいよ」



よし。


…なんか緊張してきた。
あれ?
俺、この感覚覚えてる…?



「…ゼロス、話があるんだ」
「ん、なぁに?」

ゼロスは顔を上げずに、問いかける。


「抑えて、抑えて抑えて、でもどうしようもなく溢れてくるから、伝えるよ」
「…うん」


「俺、お前が好きだ。…いや、好きとはちょっと違うかな…、愛してる…?そう、愛してる」
「はは、何ひとりで言ってるの?」
「うん、ごめん。…あの、恋人はいますか?」
「いいえ」
「じゃあ、…その席を、俺に下さい」



沈黙。




あれ、まずったかな…。


ゼロスがゆっくりと顔を上げた。
顔を真っ赤にして、涙をぽろぽろ溢れさせて、でも、ふわりと笑っていた。


「ハニー、完璧」
「え?」
「最初の告白と、全く一緒」
「う、嘘…っ!?」



まじで!?
俺、こんな恥ずかしい事言ってたの!?!?


今更ながら、顔が熱い…。


「実は覚えてたんでしょ」
「…はは、そうかも」



ゼロスは少しむすっとして俺から離れた。


「俺さまのコト、虐めてたの?」
「いーえ、違いますよ」



今度は俺から、ゼロスを思いきり抱きしめる。
彼は素直に俺の中におさまって、じっとしている。


「俺、毎日告白しよっかな」
「…え、何で?」
「だってゼロス可愛いんだもん」
「〜っ///」




暫く俺達は、ただ静かに抱き合っていた。





→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ