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□暗黒
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暗い。


…暗い、くらい、…っ

何か、なにかないのか…っ!?

誰か助け……っ


「ってぇッ…!!!?」
「っ?」


深夜。
とても、とても変な夢を見た。
悪夢だ。
そう、あれはあく……

「何すんだよハニーっ!!!!」
「ちょ、人が読者様に判りやすいように回想してんのにっ!あと5秒が待てねぇのかお前はっ」
「何その言い方…っ、ハニーわざと俺さまの髪の毛引っ張ったでしょ!?」


はい。
簡潔且つ的確な説明ありがとうゼロス。


彼はうるうると瞳を潤ませて俺を睨んでいる。

え?何故暗いのに判るのかって?
そんなの、簡単じゃないか。

愛のちか……


「いだ…っ!?」
「ハニーったら俺さまの事無視!?俺さまちょー痛かったんですけどっ」
「だぁから、最後までやらせろっ!!途中で邪魔すんなっ!!!」
「何が!?俺さまが何を邪魔したって言うのさ!?邪魔したのはハニーでしょーよ、俺さませっかく安眠してたのにっ」



はぁ、きりがねぇ。
此処は男の俺が引き下がってやるか。

「ごめんな、ゼロス。…その、お前の綺麗な髪引っ張っちゃって」
「き、きれ…っ!?……判ったならいい…」


そう、褒める事を忘れるな俺。
彼は甘い言葉に弱いんだから。

「…それよりハニー」
「ん?」
「悪い夢でも見たの?」


…あぁ、バレてんのか。

「どうして?」
「『誰か助けて〜』って言ってたから」
「俺、そんな情けねぇ声出さないから」
「出してたでしょーよ。『あぁ、助けて下さいゼロス様っ、俺、何でもしますからっ』って俺さまにしがみついてた」
「ないっ、絶対ないっ」


ムキになんなって俺っ
今さっき大人の階段昇るって約束しただろっ

「もう寝よう、明日早いし」
「…うん」


乱れた布団を直し、起こしていた上半身を中に沈める。
久しぶりの布団なんだから、じっくり堪能してやるのが筋ってモンでしょ。

「おやすみ、ゼロス」
「もう悪い夢見ないでよ?」
「あぁ」


俺に背を向ける背中に、俺は抱き着いた。

「こうしてたらゼロスの夢しか見れなくなる」
「っ…勝手にすれば?」
「ん、じゃあ勝手にする」





そして俺の見た夢は。


とても、
それはそれは美しい、
キミがいる夢。





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