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□あまいもの
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「ゼロス、メロンあげる」
「え?いいの?」


俺が食いかけを差し出すと、ゼロスは目を輝かせた。
俺はフォークに一口突き刺し、ゼロスの口の前へ。

「はい、あーん」
「…へ?」
「ほら、早く口開けなよ」


ゼロスは何を躊躇っているのか、なかなか口を開こうとしない。

「じ、自分で食べれるからっ」
「え〜、楽しくな〜い」


俺がそう答えると、ゼロスはわなわなしだした。
あ、限界かな?


「ほら、あーんして」
「…っ」

小さく開く彼の口。
俺はため息をついた。

「いや、入んないから」
「い、いっぱいいっぱいだもんっ」
「ほーら、早くしないと入れてやんない」
「〜っ…」


彼の口は先程よりほんの少し大きく開いた。
仕方ないので、メロンをねじ込んだ。

彼は、それはそれは幸せそうにメロンを味わっている。
つられて顔が綻んだ。



「はい、最後の一口」

小さいカケラをゼロスの口元へ。
彼が食べようとした瞬間。


ぱくり。

自分の口へ。


「…っ!?」

ゼロスの目が見開かれた。

何故って。
俺が彼に口移しで食べさせてあげたから。


そのまま舌を絡ませ、吸いつくように濃厚なキスを堪能した。



「美味しかった?」


彼は真っ赤になったまま、無言で頷いた。




→あとがき
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