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□愛してると言って…
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「ハニー」
「何?」
「愛してるって言って?」
「なんだよいきなり」


顔を覗き込まれた。
ちょうど武器のメンテをしていた俺は、作業をとめて彼を見た。

「ねぇ」
「…愛してる」
「もっとこう、色っぽく言おうよハニー」


ゼロスの拗ねたような声。
俺はため息をひとつつき、唐突に彼を抱きしめた。

うわっ!?っと驚く彼。

が、気にしない。


「俺の何処が不満なんだ?」

耳元でそう呟く。
彼はひくりと反応し、それから篭った声で。

「ぜ〜んぶ」

そう言った。

「何故?」
「だってハニー、さっきから刀ばっかりいらっちゃってさ。俺さまより刀が好きなんだ?」


ふて腐れたようなゼロスの物言いに、俺は笑ってしまった。
するとやっぱりゼロスはますますふて腐れて。

「何が面白いの。俺さま、結構シンケンに言ってんだけど」

と言う。


「本当にそれを悩んでんなら、病院に行った方がいいかもよ?」

俺が言うと、ハニーはどんっと俺の胸を押した。

目が潤んでいた。


あれ〜…。
えっと…。

泣かせるつもりじゃなかったんだけどな…。



「ハニーの馬鹿っ!!!」
「うん」
「阿呆っ!!!」
「うん」
「えろ大魔人っ!!!」


俺はにっと笑って彼の緋色の髪を手に取り、口づけた。

「お前にだけ、な」


途端に、弾けたように赤くなる顔。

力の抜けた彼を、俺は再び抱き寄せた。
素直に倒れてくる彼。


「お前、とうとう刀にまで嫉妬しちゃうんだ」
「…っ、だって…っ!!」

何か言い訳をしようと開かれた口は、俺が首筋を舐めたせいで不発に終わった。

そのまま吸いついて、痕を一つつけると、小さく甘い声が聞こえた。


「可愛いなぁお前は」
「う、煩ぇ…っ」
「嫉妬してくれたんでしょ?」
「…、…ちょっと、だけ…」

ほら、やっぱり可愛い。


「ほ、ほんの少しだけなんだからなっ!!」
「うん」
「ほんとに、ちょっとだけなんだからなっ!!!」
「はいはい」



必死になって弁解をする彼を思いきり抱きしめて、いつの間にか眠っていた。





→あとがき
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