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□誕生日
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「なぁハニー、きょーは何の日でしょ?」
「だぁぁ!!煩いってばゼロスっ」


ガラにもなく本を読んでいるハニーの後ろから抱き着くと、言葉でも態度でも思いきり拒絶された。
いつもの事なんだけど、今日されるのは頂けない。
ハニーったら、覚えてくれてないんだね〜…。

…なんて…。


俺さまだって怒る時は怒るよ?



「…」
「…何むすっとしてんの」
「ロイドくんには関係ない」
「…はぁ…」


ぎゅ。

腕を引っ張られて、気付いた時にはハニーの胸の中。


「ちょ、離せよ…っ」
「何怒ってんのか、話してくれたらね」
「か、関係ないって言っただろ!?」
「俺の気がおさまらないから」



ぎゅ〜っと抱きしめられる。
ハニーの香りが鼻を擽る。


「言って」
「…その…、今日は俺さまの…、」
「…ん?」
「た、誕生日…だったりして」


俺さまがこんなに一生懸命になった事あるか?
いや、ないね。


なのにハニーったら、「あ〜、そういう事ね」って言って静かに俺から離れた。



「可愛いな〜お前」
「な…っ」


ぽんぽんと頭を軽く叩かれ、体温が上昇する。

あ〜、やられた。


彼は俺さまの髪を軽く引っ張り、額をこつんと合わせた。

「何が欲しい?」
「…えっと」
「何でもいいよ。お前が欲しいなら、何だってあげる」


ふふっとハニーは不敵に笑った。

「…あの…、」
「何?」
「欲しいモノとか、考えてなくて…」



ふわりと身体が倒された。
痛くはない。
彼はそういう細かい気遣いもしてくれるから。

「えと…」
「決まってないんでしょ?」
「そうなんだけどさ…」


このシチュエーションは…。
…まさか、ね。


「どうしたのかな、ハニー…」
「ごめんな、何もいい案が浮かばなかった」
「嘘だろっ!?、ちょ…」



何脱がしてんだよっ
ちょ、えぇ!?

「やめ、」
「煩いなぁ。欲しいでしょ、俺の」
「ロイドくん、正気ですか…?」


にこりとハニーは笑った。



「うん」


わ、駄目だってばっ
俺、止まんなくなっちゃうからっ!!!



ぱし。

せめてもの抵抗として右手を振り上げたら、見事に掴まれた。

やばい、やられる。
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