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□おかしい
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俺さま、おかしいんだよね。

ハニーにそう告げると「いつもの事でしょ」って軽くあしらわれたけど…。


絶対、おかしいんだ。


「なぁ、ハニーは俺なんかの何処がいいの?」
「どうしたの急に」

ほら、おかしいでしょ。
急にこういう事が気になったりするんだよ?
おかしくない訳がない。


「俺はお前の全部が好きだよ」

ハニーは俺を暫くまじまじと見つめた後、笑顔でそう答えた。
恥ずかしい言葉だよね。
男が男に向かって「好き」だなんて。
昔の俺じゃあ考えられない。

なのに、その言葉で顔を赤くしているのは間違いなく俺なんだ。


「全部って…?」

ほら、絶対おかしいでしょ。
いつもなら、さっきのハニーの言葉で満足してたんだよ?
なのに、知りたくなった。
俺さまなんかの何処がよかったのか。


「ゼロス、おいで」

ハニーが手招きしてくれる。
俺はハニーの前に行って座った。

直視できない。


ふわりと彼の香りに包まれた。



「何かあったの?」

耳元で囁かれて、ひくっと反応してしまう。
耳、弱点なんだけどなぁ。


「だから言ったでしょ。俺さま、おかしいんだって」
「それは答えになってないよ。俺は、お前が何か心配事をしてんじゃないかって聞いてんの」
「ううん。それは、ない」



ハニーにもたれ掛かるように身を預け、素直に答える。

「ほんとに?」
「うん、ほんと。ねぇ、教えて。俺なんかの何処がいいの?」


ハニーは静かに俺から離れて、真っすぐに俺を見た。
そして、片手を俺の頬に宛ててにっこり微笑んだ。
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