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□04.中身が大事
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「おかーさん、クー手伝うよ」
「ありがと。でも大丈夫」

夕飯の支度をしていた時、クルミが駆け寄ってきた。
ね、いいでしょ?と言われ、断りきれない。


「じゃあ、おにぎり作ってもらおうかな」

包丁持たせる訳にもいかず、とりあえずご飯を適量ラップに包む。


「これをね、こーやって握ってね」


数回握り方を見せて手渡すと、きらきらと瞳を輝かせたクルミが一生懸命握りだす。
凄く必死に握る我が子を見て、とても満たされた気持ちになる。

「上手だね、クーちゃん」
「だって、おかーさんの子供だもん」


あ、嬉しい事言ってくれちゃって。
クルミの頭をふわふわと撫でると、擽ったそうに笑う彼女。

「握ったら言ってね。ご飯入れてあげるから」
「うん」








テーブルにおにぎりとおかずを置くと、男二人は顔を見合わせた。

「これ、クルミが作ったの」


少しいびつな形だったけど、一生懸命握ったおにぎり。
最初にそれを手に取ったのは、ロイド。

「お、これうめーな」
「でしょ〜」
「きっとクルミはいいお嫁さんに…、…お嫁さん…、行っちゃうのかな、クルミ…」
「ちょっとロイドくん?何本気で悩んでるの」


僅かに悲しそうな顔をするロイドを見て、改めて父親に似たんだなと思う。

「クーはおとーさんのお嫁さんになるのー」
「く、クルミ…。お前って奴はなんていい子なんだ…」
「はいはい。さっさと食べて下さいよ」


はぁっとため息混じりにいうと、ロイドはクルミの頭を撫でてから食べ始めた。



「クルミ、よかったね」
「うん。また手伝うね」
「ありがとう」


貴女なら、きっといいお嫁さんになれるね。
期待してるよ、クルミ。





→あとがき
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