★ぬ〜べ〜小説★
□ぬ美樹
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「う、うん、大丈夫。」
仰向けになった鵺野に抱きつくような格好の状態でも、美樹は鵺野の視線をワイヤーから遠ざけようとあわてた。
「ねっ、ぬ〜べ〜今日も宿直室に泊まるんでしょ?早くしないと6時から始まる仲良しワンニャン物語が見れなくなるわよー・・・だから先に、は、早く帰って。私もすぐ帰るから。」
「ん?ああ、わかった。じゃあ俺は宿直室に行くぞ。お前も早く帰れよ。気を付けるんだぞ。夜道は妖怪がうじゃうじゃいるんだからな。」
鵺野はニコッと笑顔を見せて立ち上がろうとした。しかし、その時光の具合で美樹の足元のワイヤーに気が付いてしまった。
鵺野はそのまま前かがみになりワイヤーを見つめ、そのまま美樹の顔をじっと見た。
「美〜樹〜〜!・・・これはどういう事だ!?」
とうとう気付かれてしまった。
「あのう、これはですね、そのお・・・」
何も言えなくなってしまった美樹は、そのまま目をそらして俯いてしまった。
「美樹。ちゃんと俺の目を見て話すんだ。怒らないでちゃんと聞くから。」
美樹は俯いたまま考えていた。「やばい。どうしようどうしよう・・・。」
考えているうちに、美樹は追い詰められたような気持ちになっていった。涙も、鼻水まで出てきてしまった。
美樹はそのまま顔を上げると、涙を流しながら
「ごめんなさい。もうしません・・・。」と弱気になって言った。
「そうか。正直に言ってくれたな。よしよし。」鵺野は美樹の頭を撫でた。
「しかし、何のために・・」
と、鵺野が言い掛けた瞬間、辺りが激しく揺れはじめた。
ごごごごご、と激しい震動が校舎を揺らした。
「わっ」
その瞬間、美樹の唇に鵺野の歯が、「がちん」と当たってしまった。横揺れの衝撃で体も密着したまま、美樹を下にして倒れこんでしまった。
揺れはおさまった。
「美樹!大丈夫か!?か・・は・・・というか、ごめん・・・・・」
鵺野は顔を真っ赤にして美樹を見下ろしていた。
そんな鵺野の姿を見て、美樹もだんだんドキドキしてきた。
“ぬ、ぬ〜べ〜ってよく見るとかっこいいな・・・いつもは怒られてばっかりでうんざりしてたけど。”
「うん、大丈夫。それよりぬ〜べ〜、もう一回していい?」
美樹は鵺野の頭に手を回し、キスをした。
「ばっ、ばか!美樹・・こんな事許されない・・・」