!短編


鬼畜店員
1ページ/6ページ


「邪魔なんだよ、どけ」

誰か。
こんな事を口走ってしまったあの時の僕を殺してやってくれ



鬼畜店員



「…ば、か、んあ、やめろっ」

「あ?聞こえねえ」

「…や、やめて、く…だ」

「聞こえません、お客様」

そう言って背筋が凍るほどの不適な笑みを浮かべたこの男はここのコンビニ店員

そしてこの店員に変な所を触られ縛られ色々されちゃってる俺はここの客
ちなみにギャル男で不良
そして強い
…はずだった

知らなかったんだ
コイツがこんなに怖い奴だったなんて

****

「邪魔です、店員さん。エロ本が立ち読みできません」

俺は金髪の長髪をなびかせ颯爽とコンビニに入っていった
お目当てはエロ本漁りね
正直金欠な俺はエロ本買うお金も無いわけ
可哀相でしょ?
泣けるっしょ?

だがしかし、
ちょうどエロ本の前でここの根暗そうな黒髪の店員が掃除とかしてたわけ

マジで最低なわけ
萎えるっつーの
だから俺は優しく教えてあげたわけ

「…は?」

「は?とかじゃなくて、どいてくんない?読めないから」

「…いま、掃除してるんで」

「えー、なにそれキモイー、どいてー」
俺は店内中に響き渡るぐらいの声で駄々をこねた
そしたら客も店員も俺のことをすげえ目で見てたよ
なにこれ快感なんだけど

「もう終わりますんで…」

この店員、中々しぶとい。
それに顔色一つも変えやしねえ
前髪長すぎて、俺の顔見えてねーんじゃね
…すげー、うっぜ


「ボクの顔見えないのかな?
…邪魔なんだよ、どけや」

そう言いながら勝ち誇った顔で俺はコイツの胸倉掴んでやった
冷える店内
客の引く目線
我ながらカッコイイねー
イカしてるねー
って思って、
さあエロ本って思ったら…

「だれが邪魔だって?」
目の前の店員が胸倉を掴んでいる俺の手を掴んできた

「…え、いや、お前が」


「だ れ が 邪 魔 だ っ て? 」



「…ぼ、ボク…です」

正直、怖かった
泣きそうなくらい怖かった
だって、前髪の下から見える目がさ、誰か一人殺っちゃってる人の目だったんだよ


「ご め ん な さ い は?」




「ご、ごめんなさい…」

思えばアレからだよ
俺がこの店員に"こんなこと"されるようになったのは…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]