☆妄想の釜：奈落の碗
□突撃！尉之くん！！
1ﾍﾟｰｼﾞ/10ﾍﾟｰｼﾞ
＜三笠室前＞
三「…………」
和「…………」
三「…………」
和「…………。あの、三笠さん」
三「なんだ」
和「何か喋って下さい。一応僕は助手なんで」
三「…………。突撃企画だ」
和「…………」
三「…………」
和「…………。え!?終わりですか!?それだけ!?」
三「何を言えというんだ」
和「いやだから、企画の詳しい内容とか、インタビューの予定とか、僕たちの紹介とか、色々あるじゃないですか!!」
三「そうか、ならお前が喋れ」
和「ええええ!?」
三「お前の方がよく解ってるじゃないか。俺が喋るよりいいだろう」
和「駄目ですよそんなの!!」
三「いいから喋れ」
和「よくありません!!」
三「それ以上つべこべ言うと、夜中にお前の部屋の前でフラメンコを踊るぞ」
和「何ですかその微妙な嫌がらせ!!…ああもう、話が進まない……」
三「前進させたいなら、お前が喋るしかないぞ」
和「三笠さんが喋る選択肢はなしですか!?」
三「そんなもの最初からない」
和「断言した!?……ううう……解りましたよ……」
三「快く了承してくれてありがとう。俺はフラメンコなんぞ踊れんからな」
和「………………」
三「何睨んでるんだ。ほれ喋れ」
和「ええと……この企画はですね、僕、一柳和がこの人、三笠尉之さんと一緒に、当主アルノルト・グラーフ・フォン・ルロイ――通称アルの別荘であるこの城を歩いて、知り合ったばかりの人たちの意外な一面を知ろうというものなんですね。ちなみに今は明け方です。大概の人たちはまだ寝てる時間です。……なんだってわざわざこんな時間に……」
三「そういった根本的な部分に疑問を持つな。そういう矛盾から世界は成り立ってるんだ……悲しいが、それが真実なんだ……」
和「そーゆー格好良い台詞で誤魔化しても、変なものは変なんですからね」
三「俺だって眠いんだ。さっさと済ませたいからいちいちツッコむな」
和「…………。冒頭の三笠さんの渋りがなければ、もっと早く済んだんですがね」
三「（無視）行くぞ。最初は誰からだ」
和「あ、待って下さいよっ!!」