☆妄想の釜:奈落の碗

□私のSを探して
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<執事室>

コンコン。
ガチャ。

ア「ねえ、ディーター……。あれ?いない……何でだろ……困ったなあ……」


<和室>

ア「という訳で、ディーターを探して欲しいんだ」

和「うっわあぁぁっ!!……あ、アル?」

ア「そんなに驚かないでよ。傷つくなあ」

和「いや、目が覚めた時枕元に何かが佇んでたら、誰でも驚くと思うけど……ってどうやって入って来たの!?僕鍵かけて寝たよ!?」

ア「和、それは愚問だな。ここは僕の城だよ?」

和「あ、ああ……合い鍵持ってるの?」

ア「まさか。ルロイ家当主だけに代々伝えられる開錠術『楽チンかっちゃりくん』を使えば、合い鍵なんて無粋な物いらないよ」

和「それただのピッキングだから!!自分の城でも犯罪行為すれすれだから!!ってかそんなの伝えないで!!合い鍵より無粋だよ!?」

ア「シッ!!まだ真夜中だから静かに!……さっきも言ったけど、ディーターがいなくなったんだ。一緒に探して欲しい」

和「え……?まさかまた失踪……」

ア「いやそれはない」

和「え?何で?だってジョージさんと日織もいなくなったんだよ?執事さんも……」

ア「だって最初の二人は狂言だもの。失踪なんかじゃないよ」

和「ああそうなの。それじゃあ……って今何て!?」

ア「え?聞こえなかった?じゃあもう一度言うよ?『だって最初の二人は狂言だもの。失踪なんかじゃないよ』」

和「いや、そんな一語一句丁寧に反芻されても……。しかも狂言だったの……?」

ア「うん。脅迫状の犯人をいぶり出す為に仕方なく。だからジョージも日織も無事だよ」

和「そ、そう……まあとりあえず、二人が無事なら喜ぶべきだよね」

ア「そうそう。和の大切なステディが無事だったんだからね」

和「ちょっと!日織はあくまで友人で、ステディなんかじゃないから!しかもそんな単語伯爵が言わないでっ!?」

ア「え?違うの?……おかしいな、日織はそう言ってたんだけど」

和「あいつ〜……」

ア「話を戻して、ディーターを一緒に探してくれないかい?困ってるんだ」

和「うん、解ったよ。執事さんがいないと不安だよね……」

ア「ああ……ディーターがいないと、下着の替えがどこにあるのかさっぱりだよ」

和「そこなの!?そこだけなの!?」
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