☆妄想の釜:奈落の碗
□その伍
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★(不要な)あらすじ★
三笠に『絹也』と呼ぶのをやめさせたいザックは、和を巻き添えにして色々と画策するのであった……。
<応接室>
ザ「だーかーらー、『絹也』じゃねーーっっ!!!!」
三「何故自分の名前を呼ばれるのが嫌なんだ?30文字で説明しろ」
ザ「嫌だからだ!終わり!」
三「俺は『きっちり30文字で説明しろ』と言ったんだ。その説明は不可だ。6文字(『!』含む)しかない」
ザ「阿呆かーーーー!!!!」
和「またやってるんですか……?」
三「おはよう、和」
和「へっ!!??…………。…………。……お、おはようございます……」
三「見ろ絹也。一柳くんは会って数日しか経っていない俺に、いきなり名前を呼び捨てにされても怒ったりはしてないだろう。お前も見習え」
ザ「ありゃ怒る以前にびっくりしすぎて、問い質すタイミングを逃しただけだろーがっ!?」
和「なんでそこまで事細かに解るんです!?」
三「説明してやってもいいが、聞いたら後悔するのは確実だぞ。それでも知りたいか?」
和「……いえ、いいです……。ってか僕をダシにしないで下さい……」
三「飛んで火に入る夏の虫だ」
ザ「?今冬だぞ?」
和「………………」
三「一柳くん、絹也に微妙な視線を投げかけるより、ビシッと言ってくれないか。『名前にあまりこだわるな』と」
ザ「そりゃお前だーーーーっっ!!てめーの世界に自分を映す鏡は存在しねーのか!?」
和「ツッコミに関して(だけ)は、頭の回転速いですね」
三「ふっ。俺の教育の賜物だ」
ザ「それ教育じゃねーーっっ!!しかも誇るなーーーーっっ!!!!ってか和、すっげー失礼だぞ、それっ!!!!」
和「え、えーと……三笠さん、いつもいつもこんな喧嘩してたら、ザックさんに嫌われますよ?年上なんだから、たまには退いてみたらどうですか?」
ザ「それだ和!ナイスフォロー!!!!」
三「厄介事が更に自分に飛び火する前の、危機回避行動にしか見えんが」
和「(ぎくり)……とととにかく、仲良くしましょうよ。ね?ね?」
ザ「そーだぞー。俺だって好き好んでお前に噛み付いてるんじゃねーからなー。仲良く出来るならそうしてーし」
三「そういう可愛い事を、何気にさらりと言うあたりは素直だな……。だが、こればかりは譲れんな。だから絹也が妥協しろ」
和「駄目だ……駄目大人だ……」
ザ「……そこまで言うなら仕方ねーな。ならこっちにも考えがあるぞ?」
和「えっ!?ザ、ザックさん!?まさか……」
三「お前……考える頭があったのか……!?」
ザ「そっちに驚くなっ!?……お前が『絹也』と呼ぶのをやめないなら、俺はお前を『三笠さん』と呼ぶぞ」
和「えぇーーーーっっ!?考えて行き着いた呼び方がそれっ!!??」
三「む……そう来るか……なかなかやるな……」
和「しかも効いてるし!?」
ザ「どうだ?物凄い他人行儀だぞ?嫌だろ?」
和「た、確かに寂しいと死んじゃう兎並に、ザックさんに反応されるのが大好きな三笠さんに、それはきついですよね!!」
三「そういう台詞は、心の引き出しにしまっておけ」
和「す、すいません……(心の引き出しって何だろう……?)」