☆妄想の釜:奈落の碗
□その四
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<応接室>
ザ「だーかーらー、『絹也』じゃねぇーー!!」
三「ならなんと呼べと言うんだ?絹也」
ザ「いっつも言ってるだろ!!『ザック』か『イザーク』って呼べ!!」
三「俺は日本語しか話せないんだ。だから無理だ。いやー残念だなー絹也」
ザ「うーーがーー!!!!」
<和室>
ザ「……という訳で、なんとかしてくれ、和」
和「……ザックさんが諦めるのが一番良い方法だと……すいません冗談です睨まないで……」
ザ「考えたんだがな、尉之のアレを治すには、『目には目を』しかないと思う」
和「……と言うと?」
ザ「尉之が嫌だと思う呼び方で呼んでやるんだ。名案だろ?」
和「子供の喧嘩ですか……?」
ザ「問題は尉之には和名しかないから、何て呼び方を嫌ってるかが解らん」
和「採用がすでに決まってるんだ、その計画……」
ザ「そこでだ、和。頼みがある。お前から探りを入れて、尉之の嫌うあだ名を見つけてくれ」
和「えええ!?嫌ですよそんなのー」
ザ「何でだよ」
和「馬鹿馬鹿し……じゃなくて、そんな方法よりも、三笠さんには正攻法で行く方がいいですよ?」
ザ「自慢じゃねーが、尉之に口と頭で勝てたためしがない」
和「本っ当、自慢じゃないですね。血の繋がりがあるのに……」
ザ「………………」
和「す、すいません。つい本音が……」
ザ「いや、そーゆーお前だからこそ頼みたいんだ。性格はともかく、尉之と張り合う事が出来んのは和しかいねーよ」
和「あの、僕やりませんからね?」
ザ「やってくれ」
和「やりませんから!」
ザ「頼む」
和「嫌です!!」
ザ「この通りだ!」
和「……ううう……」