☆妄想の釜:奈落の碗

□その弐
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<日織室前>

和「あれ?執事さん、日織の部屋に入ってったよ?」

ア「日織を探してくれてるんだよ。……ん?」

和「どうしたの?」

ア「いや……部屋の中から話し声が聞こえないかい?」

和「ほ、ホントだ……でもドイツ語で何言ってるのか解らない……。そうだ、アル!訳してよ!!」

ア「え?……あ、うん、解ったよ……」


<日織室内>
※ドイツ語で会話中。

テ「……上手く騙されてくれるでしょうか?」

日「大丈夫ですよ。和さんの純粋さは筋金入りでさぁ。俺が保証しますよ」

テ「この場合、騙されるのは違う理由だと思われますが」

日「そうだとしても、和さんは純粋ですから」

テ「一柳様が純粋だという事に異論はありませんが、純粋さでは、伯爵の右に出る者はいませんよ」

日「いやいや、和さんはアルよりも純粋ですよ。前に冗談でAV見せたら、鼻血を吹いて倒れたくらいですから」

テ「何してるんですかあなたは……。我が君にはそんなモノ見せないで下さいよ?」

日「男なら一度は見ておかないといけませんや」

テ「伯爵はまだ19歳ですから!」

日「あんまり過保護にしてると、変な噂が立ちますぜ。アルは女性に興味がない……とか」


<日織室前>

ア「…………」

和「アル?何て言ってるの?」

ア「や、あのね?興味はあるんだよ人並みに。そりゃ僕も男だもの。家庭教師のクレア先生があんな感じだし。和でも解るでしょ?」

和「……アル?何言ってんの……?」

ア「っ!!……いやいや何でもないよ?」

和「あの、通訳は……」

ア「あ、ああ、そうだね……」


<日織室内>

テ「伯爵にエロエロな知識を与えられるよりはマシです。なんせ伯爵は、赤ん坊がキャベツから生まれて来ると信じてますから」

日「えっ!?本当ですかい!?」

テ「本当です。まだ我が君が幼少の頃、ありがちな例の質問を投げかけて来られ、困った末に教えた嘘を、未だに信じておられるのです……」

日「あんたこそ何やってんですか……。いや、だからこそ真実を教えとかないと……」

テ「伯爵はまだ19ですから」


<日織室前>

ア「…………」

和「あの、アル……?」

ア「……和。僕だっていつまでも子供じゃないんだよ?確かに本気で信じてた頃もあった……。でも誰だって遅かれ早かれ、気付く時がくるんだ……」

和「は?」

ア「そりゃ最初はショックだったよ?でも僕も大人だ。そーゆー類の本を貸してくれる友人くらいいるんだよ……」

和「……あの、しつこいようだけど、通訳は……?」


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