☆妄想の釜:奈落の碗
□PART5
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<高遠家>
三「こんにちは」
和「あ。三笠さん、こんにちは」
日「…………。…………。…………」
三「何だ?その苦々しげなツラは」
日「前回の一件で、あんたは我が家に立入禁止にしたはずですがね」
和「日織、顔怖い……」
三「まあそう言うな。ほれ土産だ」
和「うわー、高そうな薩摩揚げ……わざわざ買いに行ったんですか?」
三「好きなんじゃないかと思ってな」
日「…………。そこまでされちゃあね……。ま、仏の顔もなんとやらと言いますし。……お上がりなさいな」
三「ああ。ちなみにその土産は、お前ではなく猫宛だからな」
和&日「………………………………………………………………」
★ ★ ★
三「……あの縁側に寝転がって猫をはべらせている奴は誰だ?」
和「その表現なんか変ですよ?……あの人はディルクさんです」
三「ディルク?外国人か?」
日「ええ。髪黒いですが外国のお方です」
三「外国人だと猫にモテるのか……?…………。…………」
和「三笠さん、外国に移住したとしても、外国人にはなれませんよ」
日「せいぜい国籍くらいしか変わりませんぜ」
三「まだ何も言っとらんだろーがっっ!?それに、パスポート取得しか考えとらん!!」
和「既に外国行く気満々じゃないですか……。ディルクさんて猫そっくりだから、仲間だと思われてるんですよ、きっと」
日「ああ、そいつは言えてますね」
三「そっくり?俺もよく言われるぞ?」
和&日「…………。…………。…………」
三「何だその微妙な視線は。どーせ目付き悪いとか我が儘とか好きなものにはまっしぐらとかそーゆーのが猫そっくりだと思われてるんであって、決して褒め言葉じゃないよな、それ……とでも言いたげな」
和「い、いえ、そんな……」
日「和さん、目を逸らしながら言うと、肯定してるようなもんですぜ」
和「と、とにかく、ディルクさんてよく寝る人なんですよ」
日「ほら、猫って寝てる人の傍にいつの間にか来てるでしょ」
三「俺が寝てても来ないのは何故だ?」
和「寝てるフリだからでしょ。いくら写真を撮りたいからって」
三「…………。…………。…………」
和「……睨まないで下さい……」
デ『五月蝿い』
日『おや、おはようございます』
和「あ、起きた」
三「英語か」
デ『それ、誰?悪い奴?』
日『いえいえ、人相は悪いですが、中身は悪くはないかなあと思う時もたまにないこともないお方です』
三「おい、何を話しとるんだ?」
和「えーと……三笠さんを紹介してます。ディルクさん、日本語さっぱりなんで」
三「何故あさっての方を見ながら言う?」
デ『アヒム、親戚?』
日『そいつはアヒムさんに失礼ですぜ、ディルクさん』