☆妄想の釜:奈落の碗
□PART3
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<高遠家>
三「日織」
日「おや三笠さん、こんにちは」
和「こんにちはー」
三「ああこんにちは。邪魔するぞ」
日「猫と遊んでくれるなら大歓迎でさ」
和「……むしろ猫が三笠さんで遊んでるよね、いつも……」
三「何か言ったか?」
和「い、いいえ!」
日「あ、そうだ。今日は奥に先客が――」
三「何!?それを早く言わんか!」
ドタドタドタ…
和「あ、三笠さん!?……なんで……?」
日「新顔の猫がいると思ったんじゃ……」
和「あー成る程……なら三笠さんがっかりするよ?」
三「おい」
和「わっ!!いきなり湧かないで下さいよっ!?」
三「人をぼうふら扱いするな」
日「どうしました?」
三「奥の部屋の欄間にぶら下がって、懸垂をやってる男は誰だ?怖いんだが」
和「あわわわわ!那……じゃない光谷さんやめてーー!!家が壊れちゃうーーっっ!!」
ドタドタドタ…
★ ★ ★
光「頑丈な家だねえ、気に入っちゃったよ。僕の体重にもびくともしないから」
和「気に入った理由がずれてます……」
三「………………」
和「あの三笠さん……そんなに光谷さん睨まないで……」
日「すいませんね三笠さん。うちの猫、光谷さんの膝が気に入ったようで」
光「みたいだね。もう寝ちゃったよ」
三「俺がいくら呼んでも来やしないくせに……」
和「やっぱり体温が高いからじゃないですか?」
三「俺が冷血だと言いたいのか?」
和「えぇーーっっ!?」
日「三笠さん、喧嘩腰にならないで」
三「む。……すまん。子供に対して大人げなかったな」
和「子供?」
日「和さん、そこはスルーした方が」
光「確かに僕のが体温高いかもね。探偵さんも良い身体してるけど」
三「もっと筋肉を付けたら猫が寄って来るのか?」
和「三笠さん、即座に食いつかないで下さい」
日「そうとは限らねぇんじゃないですかね」
和「僕は鍛えてないけど、猫寄って来ますもん」
三「子供は体温が高いから除外」
和「また言った!!子供ってまた言った!!なんかさらっと、さも事実みたいに言った!!!!」
日「和さん、ツッコミしても無駄ですから。それにあながち間違いじゃ……」
和「………………」
日「……涙目で睨まねぇで下さいな」
光「でも、本当良い身体してるなあ」
三「ああそうだな。自然の造形美と言っても過言じゃない」
光「でももう少し鍛練が足りないかな?惜しいな」
三「いや、このままでいいだろう。少しは脂肪もあった方が、柔らかくて抱き心地が良いからな」
光「それもそうだね。あまり鍛えすぎても泳げなくなるしね」
三「その通りだ。中々解ってるじゃないか」
光「いやあ、そう褒められると照れるなあ」
和「日織……あれ、それぞれ違う事について話してるんだよね……?」
日「ええ……微妙に噛み合ってるような噛み合ってないような……」
和「会話が成立してる所が凄い……」
何気に和気あいあいで、完。